免疫力を高める癒しの宿「せせらぎ」24

微量栄養素サプリメントの必要性
その2

健康回復のポイント
──腸壁を守る

 病気に悩む方々は、過去に食性にあわない動物性食品を摂ったため、それらが腸内で腐敗し自家中毒を起こしたことがきっかけで、腸壁が炎症になりかかるくらい荒れてしまい、腸壁から腸内細菌やウイルスが大量に体内に侵入してしまった方々が多いのです。
 その結果、全身の細胞内にいたるまで、バイ菌・ウイルスまみれになったことがきっかけで、遺伝子の中に潜まれて免疫力が落ちてきます。
 病気は、それらが全身多臓器で暴れ出す日和見感染を起こしていると考えた方が真実に近いのです。
 細胞内のミトコンドリアや核内にまで入り込まれたバイ菌やウイルスをどう処理するか? 急性期にはタイミング良くバイ菌を処理する抗生物質などの薬や、エネルギー発生器官の細胞内ミトコンドリアを活性化するステロイドホルモンなども一時必要な場面もあるでしょう。
 しかし、薬は効き目は一時的ですぐ効かなくなるし、怖い副作用は避けられないので、長期間、薬に頼るのはよろしくない、かえって命の危険に追い込まれることがある、両刃のヤイバの薬を使わないですむならその方が良いと考えます。
 それより、一連の悪循環的流れの中で、はじめの自家中毒を起こす食品を食べないのが一番大事と考えます。また、ことさら自家中毒を起こして腸壁を荒らしていなくても、腸内は腸内細菌に満ちており、冷たいものを食べたり外から冷やしたりして腸壁の温度が37度を下回ったら、腸内細菌は腸壁をすりぬけて人体内に大量に侵入してきます。
 私どもは食物を選ぶ基準を、ヒトは決して肉食動物ではなくルーツは草食動物の系統であるという食性にミスマッチのものは食べませんというところに置いています。これこそ私たちの日本型食養のポイントです。美味いから選ぶ、安いから選ぶということは二次的基準です。

ヒトの食性

 ヒトは決して肉食動物ではないのは、爪・歯・腸の形態から容易に理解できます。ヒトは約一千万年前にゴリラから分かれ、約六百年前にチンパンジーとも分かれ、独自の進化をしてきたといわれます。そのため、ヒトの遺伝子とゴリラの遺伝子と比べると97%が共通だそうです。
 ゴリラの食べるものは95%が植物です。ヒトのルーツもその辺りだったに相違ありません。だから消化酵素も植物食品だとうまく消化できますが、高度に分子が絡み合った動物性食品をたらふく食べると、うまく分解・消化・吸収する前に、腸内で温められて腐敗をはじめることが多く、自家中毒の様相を見せるようになることが多いのです。排便やガスのニオイがきつい場合はたいていこれです。
 ヒトは森の中で天敵が来ない安全な樹上生活をしていたのが、地殻と気候の大変動で、森がなくなってやむを得ず地上生活に切り替え、二足直立歩行をするようになって、雑食に目覚め、それに適応する過程で単純な草食動物とはいえなくなりました。でも、ルーツが肉食ではなかったことと、腸が長いことで、濃厚な脂質・蛋白質の旨味で好んで食べる動物性食品が腸内に長時間滞留し腸内で発ガン性で知られるアンモニアガス・硫化水素ガスなどが発生してしまい、腸壁が荒れます。腸内細菌もウエルシュ菌・大腸菌など悪玉菌が優性になり、それら
は腸壁が荒れれば容易に人体内に入り込んでくるという事態をもたらします。
 腸壁の温度は37度があるべき温度です。これをたとえ1度でも下回る事態になると、腸壁をすりぬけて百兆個から千兆個の間といわれる腸内細菌のおびただしい数がヒトの体内に侵入してきます。『自然食ニュース』に連載をお願いしている西原克成先生は腸壁のパイエル板M細胞から取り込まれてしまうと教えておられます。
 私どもは、それはその通りだと思いますが、何も腸は冷えなくとも、ヒトの食性にあわないものを食して腐敗させたガスなどで腸壁が炎症気味になれば、荒れた腸壁の隙間から悪玉菌がおびただしい数で人体側にしみ込んできて全身に運ばれてバイ菌まみれの体に簡単になるに違いないと思っております。
 肉や卵、乳製品の摂取が過ぎて腸管壁が荒れたり、アイスクリームや冷たいジョッキビール・ジュース・冷水、冷たいソバ・冷やし中華・冷やしたトマトや果物などで腸の冷え方がひどいと、白血球が動員されても対処不可能という数の腸内細菌がリンパ液や血液の流れであっという間に脳やら肝臓・腎臓やら膵臓やら、関節の中にまで入り込まれます。
 こうして脳細胞の内部がミトコンドリアや核内の遺伝子まで感染でやられるから、ウツや自死が増える一方で、キチガイに刃物的犯罪が後を絶たないのです。暑い環境で暮らすとき、中毒のように冷たいものをやめられなくなって細胞レベルでひどく侵されて、風邪がはやるようにウツ・自死・精神異常者の犯罪が増えても、それが冷たいもの中毒の結果だと合理的説明で解明しているのは西原先生くらいです。
 私どもは、遺伝子に逆らって動物性食品を摂取して排便やガスが臭くなるくらい悪玉菌を増やしていると、腸壁を冷やしてしまったとき侵入してくる菌のタチが悪く、それだけ病気も劇症化したり慢性化しやすくなるので、食べ物の選択は本当に大事なんだと繰り返し述べてきたわけです。

サプリメント 摂取の必要性

 毎回の食事で必要な栄養を基本的に何一つ欠けることなくとり続けることが、前月号で紹介した「五観の偈」の教えからも大事なことと思量いたします。
 道元禅師も仏教徒のお一人として、動物性食品は殆ど召し上がっていなかったと思われます。ヒトはもともと草食動物系の生き物ですから、消化を本来的に苦手とする動物性食品は栄養素バランスは良いとしても、自家中毒を防ぐためには食べない方が良いと思われます。
 しかし、それで純菜食を守り、今日のように時間に追われ、複雑な人間関係で暮らす高度な情報化社会を元気に活躍しつつ天寿を全うできるかという問題が起きてしまいます。
 日々の一兆個もの細胞を入れ替える新陳代謝をしつつ、また、イヤでも生まれてしまう膨大な数の活性酸素・フリーラジカルを即時に消去・無害化し続けられるのかという問題も起きてしまいます。