熱海「お元氣食育養生所」での 「光温熱療法」のはなし

体に与えたい 光温熱エネルギー

 熱海の「お元氣食育養生所」では、体を温めて体調を整えていただく工夫が、様々にこらされています。
 養生所での最新の工夫は、股関節から下の脚部を43℃のお湯につけるとともに、そのお湯を湯滝にして、肩から浴びて全身を温める入浴法ですが、ホカホカする太陽可視光線(紫外線なし)電球下で体を横たえる方法も大好評です。

皮膚から浴びる 光のエネルギーと ミトコンドリア

 本誌連載をお願いしている西原克成先生によれば、一つ一つの細胞に、数千個単位で存在しているミトコンドリア(熱エネルギー発生器官)を元気にしておくことが、健康を保つポイントの一つということですが、その方法の一つに、ミトコンドリアに光を浴びせるのがあるとのことです。
 光のエネルギーは皮膚から浴びると、思ったより深くまで透過し、好影響を与えてくれるようです。
 ヒトの起源はアフリカといわれますから、ルーツは当然黒人でした。強烈な紫外線を浴びるので、皮膚表面にメラニン色素を集めて、紫外線の害が深部に至らないようにしたわけです。
 この紫外線の害さえなければ、光を浴びてそのエネルギーが入ってくることは、体にとても良いことなのです。
 不思議なことですが今、日本で生活している人の中には、一日数杯の青汁だけで何十年も生きている人がいます。この人の生きるエネルギーは食物から来るものだけでなく、環境温度のエネルギーや浴びる光のエネルギーも計算に入れなければ、説明がつきません。
 光や熱はミトコンドリアや細胞レベルで考えると、かなり刺激的なエネルギー源になるはずです。

養生所での 光温熱療法
〜紫外線なしの 人工太陽可視光線電球〜

 西原先生から、ミトコンドリアが光エネルギーで励起されるということをうかがって、太陽光と同じ波長の光を発する電球を探しました。
 秋葉原の電球専門店で、願い通りの50Wの特殊電球が見つかりました。これを100Wの医療用赤外線ランプと組み合わせ、足裏からはじまって全身の片面を同時に照射できる七灯式の光熱発生装置を工夫してみました(写真)。
 ベッドの上に半裸で横たわり、この人工太陽可視光線(紫外線なし)を全身に浴びると、まず思わずウトウトするくらい良い気持ちになります。そのうち体温が少しずつ上がりはじめ、汗がジワリと出てくるようになります。光のあたる体表面だけでなく、深部から温まるのが特長です。
 光線療法の世界では昔から、黒田式とか、アーク放電式の、強烈な光を浴びられる治療器が有名です。これは、やはりミトコンドリアにエネルギーを流し込み、全身を活性化して様々な病気を治す実力を誇ってきました。
 アーク式は発熱しないわけではありませんが、たいしたことはありません。熱よりも光のパワーを期待したものだと思います。西原先生によれば、外気功治療などで気の通り道が、写真が真っ白になるように写る術者からの「気」の流れを何十倍、何百倍もしたような強烈な写真がとれるのが、アーク式光線治療器だそうです。
 太陽可視光線(紫外線なし)電球では、その面でどうなのかわかりませんが、光とともに好ましい温熱刺激が得られるのは間違いありません。
 そこで思い出されるのが、本誌昨年7月号インタビューの「ヒートショックプロテインを増やせば病気は良くなる」という、愛知医科大学の伊藤要子先生のお話です。
 普段あまり汗をかかない人でも、じんわりと汗をかくほどの、深部からの全身の温まり方は、受動発熱だけでなく、おびただしいミトコンドリアが励起されて、ブドウ糖を燃やしてエネルギー化したこともプラスしているに違いないと思われます。それにしても、このウットリするような気持ちの良さは何なのでしょうか?