第145回

安保徹先生の著作に学ぶD c 『最強の免疫学 病気は自分で治せる!』

 安保先生が二時間の大講演をされる11月14日の日本綜合医学会東京大会がいよいよ近づいてきました。1100人分の全指定席もほぼ満席となり、当日どうしても安保先生の肉声を聞きたいという方はやむをえず当日売りの入場券で立ち見でという盛況ぶりです。今、安保先生に期待する国民がいかに増えてきたかという一つの証左です。
 安保先生の新著、永岡書店刊「最強の免疫学」は、肉食と菜食の問題に踏み込んで解説されており、是非本屋さんで購入して座右に備えたい本です。特に本誌愛読者と新規に立ち上がったNPO法人「根本的食生活改善をすすめる会」の賛同者にとっては「肉食は顆粒球人間、菜食はリンパ球人間」ということを解明していただいた第2章は格別興味深く読めます。
 例えば、「肉食はアミノ酸からなる酸性食品で、肉を食べるとすぐ活動に反映されます。すると体は交感神経優位になるのです。それにより行動的かつ攻撃的で、エサを取るのに適した顆粒球が増えます。焼き肉だ、しゃぶしゃぶだと毎日のように大量の肉を食べている人は、顆粒球が多くなり、活動的、怒りっぽい性格になりやすく、顆粒球人間になります。このタイプの人が何かのきっかけで陥りやすい疾患が便秘、胃もたれ、胃潰瘍。ガン体質もこの顆粒球人間に多く見られます。そして、肉と対極にある食べ物、野菜を食べる菜食主義者は、「リンパ球人間」の傾向があります。野菜
はアルカリ性で、副交感神経優位に働きます。リンパ球人間は性格が穏やかでありリラックス上手で、当然、免疫力も高めです。」と書かれています。
 どうです? ワクワクして来ませんか? 是非本書をもよりの本屋さんで手に入れましょう。
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「はじめに」より
 十年前に比べるとアレルギー疾患が二倍に増え、依然としてガンは日本人の死因のトップです。膠原病など難病の多発、高血圧や糖尿病など慢性病を抱える人も増加の一途をたどっています。
 そうした現状のなか、みなさんの多くは、「結局はどんな治療も薬も効かないのではないか」、病気を局部的な現象と見ている西洋医学に閉塞感さえ持ち始めていることでしょう。
 だからこそ、ここ数年の傾向として代替医療に注目が集まっているのではないでしょうか。
 代替医療の実績も着実に上がってきていますが、そのメカニズムについては理論的に裏付けることがまだきちんとされていないのが現状です。
 免疫学は、それら病気や医療に対する閉塞感を払拭し、代替医療のメカニズムも解明できる学問でもあります。
 つまり、免疫学が今ほど実際の疾患への応用を期待されているときもないわけです。
 主に顕微鏡の中で解説されてきた免疫学を、たくさんの人が自分の体に照らして知ることの重要性を研究者である私自身が感じています。
 ガン、膠原病、アトピー性皮膚炎、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、心疾患、慢性の腰痛・膝痛に至るまで、免疫学を理解した上で、ストレスや薬の影響から目を離さずに生活の見直しが行われれば、病気から脱却できるのです。カゼや肥満、不眠や冷え症など日常的な体調不良についても、人間を全体として捉えることにより、科学的・理論的な裏付けをもって解消できるでしょう。
 慢性病やアレルギー疾患を抱えている人、そして生き方を見直したいと考えている人に、肩の力を抜いて読んでもらえれば幸いです。
 健康を取り戻すために自分がやるべきことは何なのかを、本書から見つけ出してください。

目 次

第一章
体調をくずさないための免疫学…13
できるだけ体調をくずさずにすむ方法は?
ストレスと自律神経を知っておく…14
体調が悪いときの体はどうなっているの?
交感神経と副交感神経のアンバランス18
すぐに薬に頼ってしまう……
薬依存では健康になれない…………25
免疫は体のどこではたらいているか?
免疫の舞台は白血球…………………28
免疫力がある状態とは?
リンパ球、顆粒球、マクロファージの
 モチベーション……………………33
カゼをひいたら薬で熱を下げるべきか?
カゼの発熱は治癒に必要な反応……40
カゼは何度もひくのに、はしかや
おたふくカゼが一度きりなのはなぜ?
カゼのウイルスは変幻自在だから…45
雨の日にやる気がしない、体調がよくないのは?
副交感神経を優位にしてしまう
 低気圧………………………………50
毎年、春や秋に体調がよくない……
自律神経の揺さぶりが激しい
 「季節の変わり目」…………………55
丈夫なときと病気ばかりするときが
あるのはなぜ?
リンパ球の割合の生涯変動…………60
体を冷やすとよくない理由は?
冷えは病気を作る名人………………63
睡眠時間を削り仕事バリバリの未来は?
細胞を「先祖帰り」させる睡眠不足…65
第二章
丈夫な体質になるための免疫学…71
子どものときに体が弱いと
大人になって丈夫になるって本当?
免疫力があり余っている
 子ども時代…………………………72
子どもは薄着にすると丈夫になる?
リンパ球過剰状態を
 作らない薄着………………………76
ニキビや吹出物が繰り返し出るのは体質?
ニキビや吹出物は
 顆粒球増加で起こる………………78
食事で体質が決まるの?
肉食は顆粒球人間、
 菜食はリンパ球人間………………80
キレやすいのも体質?
甘いものの食べすぎが
 キレる人間をつくる………………87
糖尿病体質は遺伝するの?
遺伝よりもストレスが影響する……91
第三章
ストレスに強くなる免疫学………95
人よりもストレスに弱いのですが……
メカニズムを知れば
 ストレスに強くなれる……………96
ストレスに弱い人が
かかりやすい病気は?
若者に急増のストレス病……………102
心配ごとでうつっぽくなる?
イライラする?
リンパ球人間は落ち込み、
 顆粒球人間は怒りっぽくなる……105
びっくりしたときに排便が!
「驚き反応」という免疫の智恵………109
笑うのが体にいいワケを
きちんと知りたい
笑いは漢方薬や鍼灸と同じ効果が…112
ストレス食いはなぜ起きるの?
食べることは安易なリラックス法…116
ストレスをすべて排除できたら
健康で長生きできる?
ストレスは
 生きるエネルギーにもなる………118
効果的なストレス解消法は?
NK細胞を活性化させる方法………121
第四章
免疫力を上げる生活習慣、
 下げる生活習慣………125
どうして運動をしないと太るの?
人間は骨格や筋肉を使わないと
 破綻する……………………………126
酒とタバコはやめるべき?
最初は薬の酒とタバコだが…………131
玄米やキノコなど
体にいい食品は誰にでもいい?
健康に自信をなくしたときには
 玄米を………………………………134
朝食抜きと朝食ありの健康法、
どっちが真実?
活動エネルギーが決める
 朝食の有無…………………………139
免疫力を高める呼吸は?
口呼吸をやめて
 鼻呼吸を習慣づける………………142
お風呂で免疫力を上げる方法は?
入浴の血流障害改善効果を
 フル活用する………………………147
紫外線は浴びたほうがいいの?
日本人は日光浴で活力アップ………151
漢方や鍼は免疫を高めるの?
副交感神経優位に導く代替療法……153
年をとると
免疫力は弱くなる一方なのか?
古い免疫システムが
 死ぬまで体を守ってくれる………157
第五章
クスリへの依存を断つ……………163
免疫力が高いと薬はいらなくなる?
薬に頼らないと
 免疫力が向上する…………………164
どんな薬にも副作用があるのですか?
副作用と主作用は表裏一体…………168
睡眠薬はやめられますか?
リバウンドより怖い長期服用………171
腰痛や肩こりを繰り返すのはなぜ?
ストレスと血流抑制剤の
 使いすぎが原因……………………173
難病とは、効く薬がない病気のこと?
膠原病もパーキンソン病も
 難病ではない………………………177
抗生物質は最後まで飲まないとダメ?
薬をもらわない勇気と
 効いたら捨てる勇気………………180
ステロイドの副作用は?
体内に残留し
 悪玉コレステロール化
 するステロイド…………………183
アトピーにステロイドは効くの?効かないの?
一時的な消炎作用で治癒とは
 逆行するのがステロイド…………186
ステロイドが広まった経緯は?
副作用を自覚するまでに
 時間がかかった……………………191
ステロイド依存を
断ち切る方法はないの?
脱ステ医のサポートと
 代替療法で必ず乗り越えられる…194
第六章
ガンは免疫力で治す………………199
ガンは最強の細胞なの?
ガンの強さは
 その人の免疫力が決定する………200
ガンになる人とならない人の差は?
発ガン物質よりも
 働きすぎと悩みすぎ………………204
ガンだとわかったら、まずやるべきことは?
ガンを自然退縮させる生活の実行…209
ガンの疑いがあると言われたら?
優先させたい恐怖心からの脱却……213
治療の選択は医者任せでいいの?
免疫力を低下させない治療を選択…215
ガンが転移したらおしまい?
転移はうれしいサインでもある……218

「おわりに」より

 病気がたまたま偶然に、または運が悪くて起きているなら、原因も不明ということになり、対症療法もしかたのないことです。現代医学や現代医療は、こうした流れで治療が行われてきました。
 そして、対症療法だけではあまりにも治りが悪いことがわかってきた時点から、病気の原因には遺伝子の異常が背景にあるという流れに変わってきたわけです。十五年ほど前から、遺伝子診断や遺伝子治療という言葉がさかんに言われるようになりました。
 私はこの流れに疑問を感じていて、病気の本体について「病気は適応を超えた生き方である適応障害、つまりストレスが続いたときに起こる」と提唱しています。読み終えた後に、病気から逃れる心がまえやその方法が自然と備わり、薬や治療に対する間違った常識を捨てることができていれば、私がこの本を書いた目的がおおむね達せられたことになります。