尋常性白斑(白なまず)

白なまずとは 俗に「白なまず」と呼ばれる尋常性白斑は、皮膚の一部に白い斑紋(皮膚特有の色が無くなって白くなる)が生じる色素異常で、時にはその部分のうぶ毛までも白くなることがあります。
 発生部位ごとに、神経に沿って白斑ができる分節型、特定の分布を示さない限局型、体中に広がる汎発型(体の左右に対称的にあらわれることが多い)などの種類があります。
 原因は不明とされ、多くの因子が複合して起こしているといわれます。甲状腺疾患のある人、糖尿病患者に多いこともわかっています。
 白斑部の組織では、メラニン色素を産生するメラノサイト細胞がなくなっていて、同じような症状のものとしては、部分的白皮症や白斑性母斑などがありますが、これらは先天的に色素細胞に障害があるもので、尋常性白斑は後天性の病気です。

皮膚の構造と メラニンの役割

 皮膚は外側から表皮(図)・真皮・皮下組織の順に構成されています。厚さ0・1〜0・3mmの表皮には、まず肌のつやを左右する角質層があり、その下に色素細胞、次々と新しい細胞を生み出している基底層があります。
 真皮の大部分はコラーゲンやエラスチンという繊維で構成されており、真皮から皮下組織にかけて汗腺や毛根、皮脂腺があります。皮脂腺の脂質が毛穴から分泌されて表皮の表面に皮脂膜をつくり、それによって皮膚は乾燥を防いでいるのです。
 色素細胞であるメラノサイトから作り出されたメラニンは、有害な紫外線を吸収して皮膚を守る褐色の小さな粒子です。この粒が大きく、量が多くなるにつれて、皮膚の色が黒くなります。局所的にメラノサイトがなくなり、メラニンが消失してしまった状態が白斑というわけです。

色素細胞が 破壊される原因は

 白斑ができる一因としては、不完全なメラニンができてしまうことで起きる(一部に異常があるメラニン色素に拒絶反応がおきる)自己免疫疾患説が有力です。
 不完全なメラニン色素をつくるメラノサイトが(自己免疫反応のためか)T細胞が出す過剰な活性酸素で破壊されるところでは、近くの少々異常なメラノサイト細胞にもそのダメージが広がることが多く、白斑は少しづつ拡大していきます。
 汎発型以外の白斑では、なぜメラノサイト細胞が破壊されるのか、その原因ははっきりとは分かっていませんが、分節型の場合には末梢自律神経系の異常も関与しているという説が有力です。この他、いくつかの要因が組み合わさって発生しているのではないかと思われます。
 また、尋常性白斑とは区別されていますが、フェノールなどの化学物質がメラニンを合成する酵素の働きを阻害し、それによって白斑が生じる場合もあります。

ビタミンB群が白斑を消す

 白斑の治療法として、病院では一般的に、光に反応する物質(ソラレン等)の投与と波長の長い紫外線の照射を組み合わせたPUVA療法が行われています。
 栄養面での対処法としては、ビタミンB群を総合的に摂取量を増大化していくことが効果的であることが知られています。
 その中で、ビタミンB複合体の一種であるパントテン酸を1日量300mgとパラアミノ安息香酸(PABA)を1回量300mgを1日に3〜4回が有効ともいわれています。水などで溶き塗布するのも有効です。何故なおっていくか(治療の機序)は明らかではありませんが、パラアミノ安息香酸には、白斑や白毛を逆転させる作用もあると言われています。
 なおっていくときは、いつの間にか白斑の痕跡もきれいに消えていくようです。悩んでいる人は希望を持って試してみる価値はあります。
 ビタミンB群は、生体内で食物を消化・分解してエネルギーを得る過程でのあらゆる生化学反応の補酵素として働いています。ビタミンB群が総合的に働くことによって、細胞は正常に成長・発達し、健康な皮膚や毛髪、神経も維持されるのです。

ミネラルとしては 銅・セレニウム

 また、銅・セレニウムの補充も白斑の治療に効果があることが報告されています。
 銅には、皮膚の脱色を防ぐ働きがあるようです。
 また、免疫の異常ですから、卵、牛乳、油、肉食をやめるとともに、サプリメントでセレニウムを1日500マイクログラム程度摂ることが好ましいと考えられます。
 何等かの事情で胃液(胃酸)の分泌が弱い人も白斑になりやすいともいわれています。従って食事のたびにビタミンやミネラルが総合的に入っているサプリメント(栄養補助食品)をとることは過剰な活性酸素を消去するビタミン・ミネラルがとれるだけでなく胃液の分泌も正常化してくる筈なので、まことに望ましいといえます。
 なお、白斑の人は、日常生活では直射日光に当たりすぎないように気をつけて下さい。
 周辺の正常な皮膚だけが黒くなって余計患部が目立つことになりますし、すでに述べた通り白斑部では紫外線を吸収する色素がないので、ひぶくれを起こす恐れもあります。