糖尿病は こうすれば 合併症を防げる!(4)

合併症対策は…

 糖尿病は痛くもかゆくもない、いわゆる自覚症状がほとんどない慢性病です。しかし、・型は初期の境界型の段階でインスリンの過剰分泌が急速な動脈硬化をもたらします。これが引き金となり、また恒常的な亜鉛・マグネシウム不足があるので、様々な合併症がおこってきます。たいていの合併症が5〜10年かけて忍び寄ってくるといわれます。
・心筋梗塞 一番命とりになるのは心筋梗塞です。テレビ出演でお茶の間の人気者だった、レオナルド熊さんがこの怖さを死をもって、我々に教えてくれました。彼は三十年来の糖尿病でしたが、前日まで元気だったのに心筋梗塞で亡くなってしまいました。
 人は亜鉛・マグネシウム欠乏症になると、今や万病の元とも恐れられている過剰な活性酸素が血液中に生まれやすくなり、インスリンの過剰分泌とあいまって動脈硬化をおこし心臓にも負担がかかり、不整脈をおこしたり、血栓ができやすくなって心筋梗塞や狭心症のリスクがとてもたかまります。
 過剰な活性酸素に対しては抗酸化ビタミンとか、それを分解してくれるいくつかの酵素(これを働かせる鍵となるのが亜鉛・銅・マンガン・セレニウム・鉄などのミネラル)がそれから身を守る決め手となるのですが、糖尿病の人は過剰な糖がこれらに結合するので活性酸素の困った働きを抑えられず、さまざまな病気を併発しやすくなるのです。それなのに少食のため亜鉛・マグネシウム不足にならざるをえないので、余計に合併症が出やすくなります。
・白内障 心筋梗塞のほかにどんな合併症があるかと言うと、失明です。これには、若いときからの白内障と網膜症があります。どうして糖尿病だと30代40代から白内障になりやすくなるのでしょう?
 目に光とともに紫外線が入ってくると、レンズ部の中にある水を壊して、OHラジカル(ヒドロキシルラジカル)という活性酸素を発生させてしまいます。糖尿病の人は、目のレンズ(水晶体)の中にも糖が増えているのです。
 目の中で過剰な活性酸素が生まれた時でも、普通の人は目の中にある抗酸化ビタミンとか、抗酸化酵素がこの活性酸素をすぐに無害なものにしてくれます。しかし糖尿の人は糖が多いので、抗酸化ビタミン、活性酸素消去酵素に結合してしまい、それらが働かない。こういう人が牛乳やヨーグルトを摂っていると、その乳糖(ラクトースやガラクトース)もグルコース同様の悪さを目でするので、白内障などになりやすい。そこで活性酸素のせいで透明な繊維がよじれてくるから、段々レンズ部に白い霞がかかってくる。
 見えにくくなっていた目がサプリメントを飲んでいたら、良く見えるようになったという方は多くおられます。普通、眼科医は「一旦白内障になったらば、元へはもう戻りませんよ。」と言います。 しかし、白内障でいったん見えなくなった人でも、また、視力が戻って見えるようになったという人が何人もいるというのは事実です。
・網膜症 白内障と並んで糖尿性網膜症も失明の原因として恐れられています。
 網膜症というと、未熟児網膜症多発事件が思い出されます。月足らずで生まれた赤ちゃんを保育器の中で保育するとき、医師は全身に酸素を速やかに十分供給するべしと教わってきたので、酸素をチューブで保育器に注入し赤ちゃんに多量に吸わせたところ、網膜の血管が内側から切れ、出血多量で失明する事件が相次いだのです。
 われわれが生きていくためにどうしても必要な酸素も、条件次第で猛毒・活性酸素に変身してしまい、われわれを取り返しのきかないダメージに追い込む恐い側面があるということを、医師の世界にも認識をひろげるきっかけになった事件でした。
 人間の体のなかでは、吸い込む酸素の約2%が化学構造が変り、酸化力のとても強い活性酸素に変わるため、その過剰なものが網膜の血管を構成する細胞の細胞膜を酸化させ、血管を内側から破り眼底出血させることがあります。
 人間の脳(目は脳の一部です)は酸素要求量も多いので、このタイプの出血がしやすいという弱点にもなっているわけです。
 糖尿の人は、細胞外液、血液の中に糖がウヨウヨしてますから、それらが体の中の抗酸化ビタミンとか、抗酸化酵素に絡みついて結合し、これらが過剰な活性酸素を除去することができなくなっています。そうすると別に酸素を高濃度で吸ったわけではなくても、我々がひっきりなしに吸っている酸素のごく一部が変質して、血液中で活性酸素が発生する為に、糖尿の人は網膜の血管が内側から破れて眼底出血をしやすくなるのです。
 亜鉛は、眼に一番多く、特に網膜では非常に高濃度です。尿で亜鉛が抜けていくと、視覚神経が働くのに必要な亜鉛を網膜に確保することもむつかしくなります。
 そういう事態をカバーしようと新しい血管が出てきて、それがうまく伸びられないと、とぐろを巻くようになって周辺の血管を巻き込んで横に引張ってしまい網膜剥離になります。
 そうなってもレーザー光線治療があるなんて、皆さん油断してはいけません。あれは視野周辺の網膜剥離をもたらす新生血管を焼き潰してるだけです。けっして根本原因から解決しているわけではないのです。
 糖尿病の人は、血糖値を下げるように努力するべきですが、徹底的に少食にしたら血糖の材料がなくなるわけですから血糖値は下がります。
 インスリンの出方が多少悪くても、摂取する糖分が少なくなればインスリン要求量も減りますから、少量のインスリンでも間に合うようになります。
 しかし、いったん糖があぶれ出すと活性酸素が発生しやすくなるのですが、インスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島のベータ細胞はこの活性酸素の被害を大変受けやすく、炎症を起こしやすい細胞です。従って・型の糖尿病でも本格的に血糖値があがってくるとインスリンが少なくなってくることが多いわけです。そこで亜鉛とマグネシウムを十分に供給しつつ、2000キロカロリー程度に抑え、同時に抗酸化ビタミンと酵素を働かせるミネラルを多目に摂り、グルコーストランスポーター4を増やす運動を毎日するということが糖尿病の合併症に対する基本的な対策となります。
 なお、鼻や舌にも亜鉛が不足してくると臭覚障害、味覚障害の原因となります。
・壊疽 更に合併症として壊疽があります。
 あの田中角栄さんも、糖尿病で一流の大学病院特別室に入院しました。金脈と人脈で楽々と入れたのですが、易々とは出てこれなかった。壊疽を治して貰えなかったからです。遂に足1本を切断し、血が止まらなくて、ついに、命まで落としてしまったのです。
 しかし、糖尿病で入院中、壊疽が出て、足の先からまずパンパンに腫れて腐り始め、微量栄養素のサプリメントをそれから飲み始めて、約2週間で壊疽が治ったという人もいるのです。だから壊疽がおきても諦めることはありません。生きてる限り奇跡的回復というのは起こりえます。
・腎臓病 さらに糖尿病は合併症として腎臓病があげられます。
 体の中の手の先、足の先の毛細血管が活性酸素のためにできる血栓が詰り、腐ってくるのが壊疽です。
 腎臓も毛細血管でできています。手や足の先よりもっと毛細血管が精妙に組みあわさってできているのが腎臓です。人間の体で一番細くて弱くてデリケートな血管をもっているのが目の網膜と腎臓といわれます。糖尿病の人が尿から大量に捨てているのが亜鉛とマグネシウムですが、このマグネシウムは細胞の中で働くミネラルです。網膜や腎臓の血管をつくる細胞の中に必要なマグネシウムが不足すると、細胞はうまく働けず、その細胞がつくる血管はとても弱く破れやすくなります。これが腎不全の血尿や眼底出血の根本的原因といわれます。そういうわけで糖尿の人は腎臓が壊れやす・br> ュなるのです。現に腎臓のトラブルで人工透析をしている人に糖尿病の人が多い。一旦透析を始めると治るということは簡単には言えなくなりますが、サプリメントは透析している人でも摂れるようにカリウムが少ないものを選びましょう。
・神経麻痺 さらに、糖尿病には手足が痺れる神経麻痺が起きる合併症もあります。神経が全身をコントロールしているわけで、活性酸素により神経の機能が麻痺してくれば全身の働きにブレーキがかかるのもやむをえないところです。
 合併症はこれらの他にもいろいろあります。

合併症を防ぐ食事

 これらの合併症は、血糖値が高いために過剰な活性酸素を抑えられず起こるケースが多いのですが、糖尿病ではなくても、餌の中の亜鉛とマグネシウムをゼロの餌で飼うと、動物は亜鉛・マグネシウム欠乏症になってきます。そして、糖尿病の合併症とそっくりな病気を起こすことがわかっています。
 糖尿病の人はおしっこをするたびに、亜鉛とマグネシウムを気前よく捨てているわけですから、どうしても亜鉛・マグネシウム欠乏症になってくるわけです。これこそが合併症の原因です。
 だから、カロリー制限中心で亜鉛とマグネシウムのことを考えない食事療法を一生懸命やってるうちにどんどん亜鉛・マグネシウム欠乏症になって合併症が進行するケースが多いのです。
 しかし、ほとんどの関係者がこの事態にも気がついていません。医学は進歩したといわれながら、年々糖尿病が増える原因はここにもあると考えられます。
 二分づき米の麦ご飯(麦2〜4割)に納豆で蛋白質を確保し、おかずはいろいろな野菜を入れた味噌汁、海草の酢の物、そして芋を基本にし、サプリメントを毎回の食事に取り入れた多くの人は、現にこの合併症からの回復の道をたどっています。
 糖尿病の合併症を防ごうと思ったらば、とにかく、亜鉛・マグネシウムがたっぷり入っている上に、微量栄養素が総合的に入ったサプリメントを毎食事にきちんと摂ることです。
 糖尿病が治るまでは、亜鉛・マグネシウムがどんどん尿から出ていくわけですから、出ていく以上の量を摂取する以外に、充足していく方法はないのです。糖尿病が解決するには、おおむね数ヶ月はかかります。糖尿病を本格的に治すには、ポイントになるサプリメント摂取だけでは不十分です。

グルコーストランスポーターを増やす

 ・型の糖尿病が治ったというためには、グルコーストランスポーター4が安定的に普通の人なみに増えることが必要です。

1.運動で増やす

 ここでしっかり心に留めていただきたいのは、運動の目的はグルコーストランスポーターを人なみに増やすことであって、一般にいわれている1日に200キロカロリーを消費して血糖値が下がるのを期待するための運動ではないということです。
 運動はお金も道具も要らず、どこでも誰でも出来るというとやはり"歩く"のが一番です。しかし漫然と歩いたり、犬の散歩のついでにというのでは駄目です。
 グルコーストランスポーターを増やすには強さが要求されます。運動の強さは脈拍のテンポでわかります。脈拍が1分間に120〜130になる位の強目の運動を毎日1時間して下さい。ただし、糖尿病の方は体が疲れやすいので、1時間を1日2回か3回に分けて1回20〜30分を目安に運動して下さい。
 さらに効果をあげるにはタイミングが肝心です。血糖値が上ってインスリンが出ている時に一番効果があがるので、スタートは食事終了30分後、最低20〜30分間は続けて大股速足で歩きます。歩幅を大きくとり、また手を大きく振ったり軽目のダンベルなどを持ったりするのも有効です。歩行時の足底からのショックを防ぐには、今、流行の靴底に空気クッションのある運動靴がおすすめです。
 そして、毎日継続することが大事なので、雨や大風の日など外で運動ができない時のためには室内でできる運動具があると便利です。階段のぼり同様の運動ができるステッパー、その上を歩くことができる歩行ベルトなどなど。電動モーター付歩行ベルトでは時速5〜7km位で歩きましょう。
 合併症が進んで強目の運動を禁止されている人は、ストレッチ(静止してする筋肉の伸縮)をして下さい。たとえば両掌を合わせて左右から全力を込めて押すようなストレッチは8秒間持続がコツです。NHKでおすすめのダンベル体操やゴムひも体操もおすすめです。これらはスポーツ用品店に用具を売っていますし、本屋さんにテキストが売っています。
 膝や足首などが痛くて速歩ができない人は、プールの端を全力で水中歩行するのも有効です。体重負担のないプールでの運動は、泳ぐのでなくとも糖尿病の方に特におすすめです。
 最後に、これだけの運動を食後にしますと食事は最低でも30〜40分かけてゆっくりよく噛まないとお腹が痛くなったりしますから、糖尿病の人は特にゆっくりよく噛むことを心がけて下さい。
 また、微量栄養素のサプリメントをとらないでこれだけ運動しますと、運動時やその晩に足の腓返りがおきてしまうこともあります。筋肉がキュッとつる腓返りは細胞内にマグネシウムが足りなくなるからです(マグネシウムが不足するとカルシウムが筋肉細胞の中に入ってきて攣縮をおこす)。毎食ごとに総合的サプリメントを摂っているかぎり、腓返りやギックリ腰そして狭心症などのマグネシウム不足のトラブルは起きなくなります。

2.サプリメント

 網膜症など合併症が進んでいるなどで運動は控えた方が良い場合もあります。動脈硬化が進んでいる場合も過激な運動は禁物です。
 こうした合併症が進んだ人や、また、体力がなかったり、心臓疾患などの病気を併発している人は、食事指針を守り、ミネラルやビタミンなどが総合的に入っている微量栄養素のサプリメントを毎食欠かさずとって、さらにDHEAのサプリメントも試す価値があります。
 セレニウムやバナジウムはグルコーストランスポーターの働きに関係するという研究報告が、また、DHEAはグルコーストランスポーターの数を増やす効果があるという研究報告があります。

牛乳は飲まないで…

 さて、・型はトラブルのもとが膵臓です。これは牛乳によるアレルギーの疑いが濃厚です。
 妊娠中母親が牛乳を飲むだけでも、また、生まれてから粉ミルクを飲ませればなおさらのこと、子供に牛乳に対する抗体(IgE)ができることがあります。これが膵臓にアレルギーの打撃を与え、ベータ細胞が壊れることが多いのです。皮膚組織に打撃を与えればアトピーです。
 ・型の人も牛乳・乳製品はキッパリとやめ、蛋白質は納豆・豆腐など毎食植物性のものでしっかりと摂りましょう。
 病気を治そうというときは、食事は三食とも純植物食にするのがコツです。
 カルシウムはサプリメントでマグネシウムとともに必要充分量摂ります。

糖尿病は治る病気です

 今まで申上げた方法で合併症を防ぎ体調がすっかり戻った人はすでに沢山いらっしゃいますから、糖尿病で悩んでいる人は誰でも試してみる価値は大いにあります。今まで糖尿病といわれていた人でも空腹時血糖値は安定して100を切り、2時間値も糖尿病のように高くならず、グリコヘモグロビンも5・8を切るのは可能です。インスリンの注射をしていた人でも、血糖値計を使って自分で測定して、自分が危険な血糖値になっていないことを確認しつつ徐々に注射量を減らして、ついにゼロにすることも不可能ではありません。決してあきらめることはありません。どうぞ頑張って
、生きがいのもてる人生を全うするまで、お元気で楽しんで下さい。
 あわせて・自然食ニュース社刊『根本的食生活改善で健康確保』を是非お読み下さい。また、毎月発行される『自然食ニュース』はとても参考になると思います。
 合併症の恐怖からも解放される筈です。
 それを楽しみに是非実行してみてください。