毎日気分良く暮らすには…2

重いうつをもたらす鉛

 鉛の害というと、自分には関係ないと思う人が多いと思います。しかし、それは油断というもの。
 現代人はこの一千年の間に千倍もの鉛に汚染されるようになったのです。
 これはミイラの毛髪と現代人の毛髪を比べ、それに含まれる鉛の量から推測されています。
 現代人は膨大な地下資源を全世界規模で大々的に穿くり出していますが、その中に当然相当量の鉛が含まれています。
 鉛は口から肺から皮膚からと、様々な経路でわれわれの体に侵入してきます。そして侵入してきた約半分程度を吸収しているといわれます。
 この鉛などの毒性金属に、微量ではあっても慢性的に軽く中毒させられているというのが、便利このうえない裏にかくれている現代生活の怖い面です。

食物や塗料・ ガソリンから…

 ちなみに鉛が多いことで知られているのが、ハンダで密封をした缶詰です。後進国からの輸入缶詰食品は特に要注意です。ハンダづけの部分から鉛が溶出していることが多いのです。ペットの缶詰にも気を配りましょう。
 白色絵の具、古ペンキが剥がれた破片などを嘗めると甘い味がしますが、鉛を含んでいることが多いので、子供などが食べてしまうことがあります。クリスマスカードなどに見られる盛り上がった印刷インク、あるいは新聞インク等にも鉛を含んだものがあります。新聞を読んでいたら手が黒くなったことはありませんか?カードなど、幼児などが嘗めたりしゃぶったりすれば危険ですし、燃やした煙などにも鉛が含まれますから吸い込まないように用心しましょう。
 吸い込むといえばガソリン(有鉛ガソリン)は排気ガスから鉛を空気中に吐き出します。自動車・航空機のガスを吸い込む交通警察官や整備士などは職業的に鉛をとり込んでいる可能性があります。

SODなどの 酵素活性阻害

 鉛のような重金属は体内に入ってくると、それまで酵素などに亜鉛がとりこまれて活性化し、分子運動で振動しているところに接触し、その重量でより軽い亜鉛をぶっとばしてその後釜に入り込み居座るケースが多いといわれます。
 そうなると亜鉛をとり込むことで活性化していたSODなどの酵素は機能することができなくなり、種々の異常が生まれ始めます。
 鉛は神経や脳に親和性があり、脳に一定量の鉛が入ってくると「うつ」の状態になることが多いのです。集中力も欠くようになり、記憶力もガクンと落ち、精神的落ち着きを失い、興奮気味になる人も出てきます。

毛髪分析による発見

 車が頻繁に通る道路の脇に住んでいる人などは要注意です。これは、毛髪分析でわかりますから、精神的にどこか自信が持てない人は年一回程度の毛髪分析はしてみると良いでしょう。
 アメリカで毛髪分析の人気が高いのは、毛髪分析でわかる亜鉛と銅の比率が異常になると、他のどの検査よりも早く心筋梗塞で死ぬ危険を予測できるからだといわれます。
 キリスト教信徒の多くは死の直前にミサをあげてもらわないと天国に行けないと思い込んでいる人が多く、そのため、その時間がとれるガンによる死よりも、ミサをあげてもらう余裕のない心筋梗塞を恐れるとのことです。ガンによる痛みはモルヒネで麻痺させられるので恐怖の対象にはならないのです。
 日本人はむしろ毎日を気分よくすごすため、脳がやられないため、鉛、水銀、アルミなどの有害金属にどの程度汚染されているかを時々チェックしてみる手段として毛髪分析は大いに価値があるという風に理解したら良いと思います。
 鉛の体内汚染度が毛髪で測れるというのは、毛髪が伸びる時には、血中から鉛を取込みつつ伸びるからです。
 つまり毛髪は鉛の排泄ルートの一つなのです。皮膚も本質的に排泄器官だといわれています。
 有害金属は皮膚、爪、汗などから比較的よくでていきます。
 しかし一方、排泄のかたわら、脳神経や骨やメタロチオネインなどを中心に鉛を貯め込むこともしています。
 脳神経系に取り込まれると、うつ、落ち着きのなさ、短絡思考をもたらします。非行青少年などでは暴力的傾向を助長するので、犯罪を犯すようになりやすくなります。
 毎日さわやかに気分良くすごせていない方は、一度有害金属による微量慢性中毒を疑ってみると良いでしょう。

対策は…

 亜鉛やカルシウム・マグネシウムなどを十分とっているとそれだけ鉛が容易に侵入しにくくなります。これらが十分あると鉛などが侵入しやすくなるスキがなくなるからです。
 追出すには、やはり亜鉛・カルシウム・マグネシウムなどを十分摂るというのが基本です。
 ビタミンの中ではCを十分摂ることが鉛をはじめとする有害金属を排泄するのに良いのです。
 アミノ酸はシステインなど含硫アミノ酸を十分摂ると良いのです。

水銀

 水銀中毒というと、水俣病を思い出す人が多いと思います。あれほどひどい水銀の体内蓄積はないものの、魚を沢山食べる人では案外水銀を多く脳神経系にとり込んでいる人が多いといわれます。日本人の場合、マグロが要注意です。
 水銀も鉛と同じように脳神経系に親和性があり、記憶困難、うつ、不眠ということがおこりますから、水銀もまた、気分良く暮らすことへの障害ということになります。
 これも鉛同様、食べ物と呼吸が二大侵入源です。
 農薬はかつて水銀を大量に使っていました。
 それは雨で川、海に流れ込んでいるので沿岸水産物にいまだに水銀濃度が高いという形で影響が残っています。
 案外見落しやすいのが歯医者で虫歯に詰められた水銀アマルガムです。
 徐々にですが、有機化して口から食べ物と一緒に入ってしまいます。
 異常な疲れ、頭痛のある人も毒性金属による汚染を疑ってみるとよいのです。全く警戒もしなかったことが、本当は体に良くなかったというとき、悲劇が生まれます。

アルミニウム

 有害金属には他に、カドミウムとかひ素とかいろいろありますが、皆あまりに不用心に生活のなかで使っている有毒金属にアルミニウムがあります。
 これは、田畑・大地に普遍的にふくまれて居り、長い間、毒にも薬にもならないミネラルと思われてきました。
 ところが、本紙で何回もご紹介してきましたが、東大医学部の湯本先生らがアルミの脳神経障害について強く警告を発しておられます。
 アルツハイマー型の脳障害をおこすおそれがあるのです。アルツハイマーで脳が萎縮してくるのに気分良い生活ができるわけがありません。
 アルミはナベ、ヤカン、電気ポットの内側、アルミホイル、缶ビールなどに無警戒に使われています。
 弁当などでギャザーのついたアルミカップに酢のものをいれたりするとかなりのアルミが酸で溶けます。(昔はアルミの弁当箱に梅干を入れて穴があいたことがよくありました)
 毎日気分良く暮らすには、毒性金属に対する認識をはっきりと持ち、とにかく体にとり込まないよう気を配りたいものです。