国民医療費、過去最高の二十五兆七千三百億円

1年間の国民1人当たりの医療費
20万円強

 病気(けがを含む)のため、国民が支払う医療費の総額が平成六年度は、今まで最高金額の二十五兆七千三百億円にのぼる見通しになりました。(厚生省・国民医療費の推計)
 一年前より総額で一兆四千億円増となり、一人あたりの年間医療費も二十万六千円(前年より一万一千円多い)。万一病気になってしまった時は十分な治療をしてもらいたいが、全体の経費のバランスの中で、医療費の伸びだけが目立つのは、日本民族の存立上の問題です。
 医療システムのお世話にならないで済むように、健康自衛の方法を各人が考えて、実行していくように国民全体の方針を転換していかないと、老人化社会を迎える今、医療費はますます増える一方になるのは必死です。
 少子出産の傾向も高まる一方で、それを支払うべき人が次々とあらわれて支えてくれることは、もはや不可能なのです。
 個人的なレベルで考えても、どんなに医療費を沢山かけられても、もちろん幸せではありません。病気にならず、自分の寿命まで貧乏もしないで生きていければ、最後、何も苦しむことなくコトッと息が切れて、あの世での歓迎会にニッコリ笑ってのぞめるというものです。
 まだ本来ならば充分生きられるのにもかかわらず、病気で倒れるから、本人も苦しむし、医療費も膨らむわけです。
 国民を病気で苦しませず、「年をとって良かったなぁ」という実感を伴う幸せな老後を送ってもらうためには、まず根本的食生活の改善、微量栄養素の確保に取り組む必要があります。

自然食ニュース
250号の 発刊を迎えて

 私どもが『自然食ニュース』を発刊して以来、この号で二五〇号を迎えることになりました。そしてますます「自然食ニュースが提唱する日本人の食事指針」の普及度こそが、日本民族をしっかりさせる基本だとの思いを日々、強めています。
 特に国家財政・各家庭の家計に破綻をもたらす国民医療費のうなぎ登りの増加のニュースに接し、この思いはますます募ります。
 この二五〇号の発行中に、国民全体の健康に大きなマイナスになると感じていることがいくつもありました。
 一つは高度経済成長の中で、様々な有害な化学物質の氾濫ともいうべきことが起こり、これが水も空気も食物も衣類も住居も汚染しているということです。
 二つには、時を刻むテンポが早くなってきて、適応するのに疲れてしまうような流れになっていることです。
 テレビやラジオのアナウンサーの話し方が、ここ二十年の間に、ずいぶん早くなったことはお気づきの方が多いと思いますが、日常生活の全てが高速度で渦巻くようになってきました。これは精神的に相当なストレスとなって、健康面にも様々なマイナスをもたらしていると推測されます。
 三つにはお米を食べる量が減ってきて、肉・卵・牛乳など動物性食品が増えてきたことと、食品添加物を多種含んだ加工食品が増えてきたことです。
 歩く(一日一万歩)ことを基本とする運動量が減ってきたことも、大きな問題です。その結果、太り気味になり、糖尿病(水面下の予備軍を含む)が増加しています。かつて、子供の糖尿病は膵臓の障害による「インスリン依存型糖尿病」が主でした。ところが今は、成人並みに食事のアンバランスから起きる「インスリン非依存型」が増えてきています。

食生活の変化と ミネラル摂取量の 変化

 製塩法を変えたため、国民がまずマグネシウム不足に陥っています。マグネシウムは微量栄養素のうちでも、毎日多く摂ることが必要なミネラルです。厚生省は300mgを所要量とみなしていますが、私たちは欧米並みに一日400mg必要と考えています。しかし、実際にはどうも日本人は200mg程度しかマグネシウムを摂っていないのが現状です。
 『自然食ニュース』では健康生活を送るためには、まず歯や消化の仕組みからわかるように、穀物・菜食を主とした雑食、つまり我々の体内の自然性を最大限に引き出す自然食を志向することが第一(健康のための必要条件)としています。
 しかし、めまぐるしい現代生活に適応して生きるためには、自然食を完璧に実践するのは、なかなか無理があります。また、たとえ、完璧な自然食を実践できたとしても、ストレス社会に対応できるだけの微量栄養素の確保には至りません。その上、自然食の場合、微量栄養素の吸収を阻害する食物繊維が多いというところにも、問題があります。
 そこで、私達は自然食に準じながら尚且つ、微量栄養素群をバランスのとれた総合的なサプリメントで補おうと皆様に提案しているわけです。