シワ

 中国に残留してきた身寄りのない日本婦人が余世を日本で暮らしたいので帰国の自由を認めてと直訴するため三十人ほどが成田に到着しました。幸いなことに無事今後日本で暮らせることになりそうですが、私が心にグサッときたのは彼女達の日本人離れした深いしわです。皆さん大変なご苦労をしてこられたんだなあという思いがこみあげてきましたが、どうして苦労するとシワがふえるのだろうかということも知りたくなりました。
 私の将来のためにも是非教えてください。
広島県 H・T
 人は生まれたばかりの赤ちゃんはシワシワですが、すぐシワはなくなり、みずみずしい肌になっていきます。一般的には老化が進行するに従いシワは増えていきます。つまり、シワは老化のバロメーターでもあります。これはいつもお話している活性酸素やそのためにできた過酸化脂質が、体内の蛋白質を傷つけることがあるのです。活性酸素は一番脂質を傷つけやすいのですが、遺伝子(核酸)や蛋白質の分子も傷つけます。皮膚の下にはあまり新旧交代の行われない蛋白質がありますが、活性酸素や過酸化脂質はこれを変質させ、特にコラーゲンの繊維どうしの間にクロスリンクという橋をかけ
、ねじって結合させてしまうことがあるのです。この架橋結合がすすむと、コラーゲン組織は全体として縮み、弾力性も劣ってきます。これを皮膚表面から見ると、シワとなって見えるのです。また、体の中の自由水が減ってくると、この過程は促進されます。ビタミンE、ビタミンB、ビタミンC、セレニウム、ビタミンA、カロチンなどが予防にきく微量栄養素として知られています。
 なお、シワを次第に消していくためには新陳代謝を活発にする必要がありますが、蛋白質を十分摂ると同時に、ヨード、パントテン酸、ビタミンB、Bなどの微量栄養素の補給が大事です。蛋白質を摂ると聞くと、すぐ、卵や牛乳など動物性の蛋白質を連想する人が多いのですが、自然食ニュースのお奨めは勿論、豆腐、納豆、穀物などの植物性蛋白質を中心として摂ることです。
 中国帰りのご婦人たちは、この蛋白質や微量栄養素の摂り方が全く足りなかったということの上に、ストレスで微量栄養素の消耗も早かったということでしょう。
 それにしても、日本人なのですから希望すれば、日本に帰って来られるというのは当然ですよね。