第一回

健康は、細胞レベルで考えよう
いくら お金があっても、 健康に 問題があっては…

 健康で生活出来るって、ありがたいですね。
 心身ともに爽やかで、よく眠れ、おいしく食べられ、排泄も順調、体を動かすのに何の不自由も感じないというのは、何と素晴らしいことでしょう。
 私たちは病気になってしまった時、つくづくと健康のありがたさに気がつきます。
 もう少し心境が進むと、命のありがたさに気づきます。
 病気になる前に健康のありがたさに気づき、人生のたそがれになる前に命のありがたさに気づく。
 これは幸せに生活していく大事なポイントです。
 それはともかく、健康面で重大なトラブルが起きると、何はおいてもまず健康回復を願います。
 いくらお金があっても、健康に問題があっては幸せいっぱいとはいえません。
 そんなに大事な健康なのに、それを維持する努力を普段はあんまりしない人が殆どです。
 そして病気になると、大抵の場合、お医者さんまかせにしてしまいますが、お医者さんでも治せる病気と治せない病気があります。
 怪我をした時の手術とか、細菌の感染による病気などのときは、お医者さんのありがたみをつくづく感じますが、成人病については、症状を一時的に抑えることはできても、根本原因にさかのぼっての治療というのはできません。
 例えば食生活に無関心だったばかりに血管にコレステロールがたまってしまって動脈硬化になったとします。
 これをお医者さんで治してもらうというのは、まず出来ない相談です。
 せいぜい、動脈硬化のせいで上がっている血圧を血管拡張剤で下げてくれるのがセキの山でしょう。
 しかし本当は、本人がこういう食生活をしていたら、先は動脈硬化になるぞということを知って、あらかじめ、気をつけておけば良かったのです。

現代の死に至る病い、 成人病を防ぐには、 細胞レベルで 健康を考える

 30年程前までは死に至る病いといえば結核、肺炎などが代表選手でした。
 今や、それが様変わり。ガン、心臓発作、脳卒中といった3つの成人病で約4分の3の死亡率を占めるに至っています。
 このような深刻な成人病にならないよう、未だ病気にならないうちにこそ気をつける、これは医師ではなく、各人の責任です。
 これが予防医学の考え方です。
 そして、さらに一歩前進して考えると、単に病気にならないという守りの姿勢だけでは充分とはいえません。
 私達の体を作っている基本単位である細胞のレベルで健康をを考えていくことがポイントになってきます。
 全身には六十兆個もの細胞があるといわれますが、その栄養環境を最適に整え、酸素の供給が適切になされ、その内外の有害物質の除去、消去がスムーズにいけば、従来人類の誰もが到達できなかった最高水準の健康状態を獲得できるはずです。
 そうなれば、幾つになっても同年の誰より若々しく、肌も美しく、病気知らずで、天寿をまっとうできます。
 これこそ、私達が目標とするところです。
 元気に楽しく幸せに生きていくために、是非身につけて戴きたいのが健康づくりに関して本当に役に立つ知識です。
 健康であればこそ、それぞれがやりたいことやり残さずやって、大いに満足して、ああ楽しかった、お先に行って彼岸で待ってますと、微笑んでこの世に別れを告げることが出来るでしょう。
 私たちの健康は、その人が食べる物、栄養に関してどのくらい正しい知識を身につけ、それを実行したかで、かなりの程度決って来ます。

アメリカで 心臓発作が 減ったわけ

 アメリカでは、近年心臓発作で亡くなる人が相当減ってきました。
 一九七五年、アメリカ連邦議会上院に、大統領候補にもなったマクガバン氏を委員長とする栄養問題特別委員会が設置され、急増する心臓発作等、成人病の原因を二年間にわたって究明。その解決の方策を〃ダイエットゴール〃と名付けて発表しました。
 その結論の要点は、「文明諸国の食事は間違っていた。それは非常にアンバランスで内容の悪い不健康な食事になってしまっている。食事の悪さが成人病多発の原因だった。砂糖や精白炭水化物を控え、動物性脂肪を減らし、食物繊維を増やし、緑黄色野菜をもっと摂ろう」というものです。
 ダイエットゴールを実行する人が増えただけで、心臓発作で死亡する人が目立って減少してきたのです。
 また、健康を考える時は、食事の内容だけを考えれば済むといった問題でもありません。
 「心身の健康」と言うくらい、心と体は不二のものですし、ストレスがたまれば誰でも体の調子が悪くなります。
 心の持ち方によって健康は大きく左右されます。
 また、歩くことから始まって、自分にあった適切な運動を規則正しくすることも、健康を守る上でとても大事です。
 しかし、何をどのように食べればいいのかという食事の知識、栄養の知識を生かしていくことが、健康の基礎をなしていることは言うまでもありません。
 食べたものが消化・分解され、腸から吸収されて、肝臓を中心とした内臓諸器官や、全身の細胞の中で、遺伝子の命ずるところに従って組立てられ、私たち自身の肉体を作るもとになるからです。
 朝、トーストとコーヒーとサラダ。
 昼、近くの食堂で定食。
 夜、家庭料理とほどほどのお酒、または、お付き合いの会食。
 これでは、これから先、元気に暮らしていくのは難しいのです。
 特に、カゼを引きやすいとか、肩こりに悩まされる人、疲れやすい人は食生活の見直しがとても大事です。
 必要な栄養素群がワンセットで体に吸収されていないと、体は無理に無理を重ねます。長い間には大きな病気のカゲがさしてくるわけです。

人の体を作っている 細胞、 その細胞を とりまく細胞外液

 人体の細胞は、オギャーと生れる十月十日前、母の卵子に父の精子が飛込んだ直後から細胞分裂がネズミ算式に続いて、成人を迎える頃にはついに60兆個にもなるのですが、そもそもの始めは一個の細胞だったわけです。
 細胞の中には遺伝子をおさめた核を始め、さまざまな器官があります。
 地球上に生命が誕生したのは、原始海水の中でウイルス状物質がつながった、将来遺伝子となる鎖状物質を脂肪の膜が囲んだ時がそのスタートだったといわれています。
 何億年という時間をかけ、人類の誕生までに生命界は変貌してきたわけですが、そのあらましの歴史を十月十日の間に凝縮してその道筋をたどってから生れるのです。(個体発生は系統発生を繰返す)
 原始海水の再現が母親の羊水です。
 単なる水ではなく、命を育むのに必要な養分が総合的に溶けているから細胞がその中で生きていけるのです。
 母親の羊水に別れを告げ、赤ちゃんとして生れた後、その細胞にとっての原始海水は細胞外液です。
 この細胞をとりまく水溶液に細胞の生命維持を保障する全ての養分が何一つ欠けず溶け込んでいることが必要なのです。

「生命の鎖」理論と 現代人の健康

 ビタミンB群の一つ、パントテン酸の発見者であるロジャー・ウイリアムス博士は、細胞の生命を維持するためには、少なくとも、18種類のミネラル、20種類のビタミン、8種類のアミノ酸が一定量そろい、相互に支え合っている状態で細胞外液に溶け込んでいることが必要であると述べています。
 これを「生命の鎖」理論とよびます。
 46種類の分子のどれか一つ欠けても鎖としての働きは失われ、細胞の病変につながります。
 逆の見方をすると、細胞の健康度、元気度はその揃い方によって、極めて快調から、死に至るまで無限ともいえる様々な段階があるといえます。
 完全な健康は全身の細胞が最高に快調になった時ともいえます。
 アメリカでは、この生体内に本来あるべき分子を揃え、正常化して病気に対処しようという考え方が、栄養学から医学の分野にその実践の場をひろげ、「分子矯正医学」の名のもとに着々と成果を上げつつあります。
 細胞の栄養環境は、現実には必要な養分がいつも揃っているとはかぎりません。現代人の九割もの人が、健康とは言い難い状況にあるというのは、むしろ、何かが欠けているのが常態であることを示しているといえましょう。
 そこで、どうしても活用して欲しいのが毛髪分析による生体ミネラルのチェックです。
 栄養分のうち、一番不足し易く、不足すると健康に一番影響が出やすいミネラルが充分摂れているかどうかは、実は髪の毛を調べればかなりの程度わかるのです。
 これらに関して正しい知識をご自分の生活に生かした時、あなたはこれから先、一生の間に100する筈だったかもしれない病気を、限り無くゼロに近く減らすことができますし、健康を実現して、自由に楽しく暮らすことができます。病気で入院するというのは、監獄生活を送るようなものですから…。
 是非ご一緒に勉強していきましょう。