微量栄養素と健康
自然食ニュースが提唱する
『日本人の食事指針』について
―副食は、野菜を中心に―
バイオミネラル研究所所長 仙石紘二
旬の無農薬野菜を
野菜は、八百屋さんやスーパーで求める人が多いと思いますが、自然農法・無農薬栽培の野菜を定期的に手にいれるルートを各自見つけておきましょう。旬の野菜も自動的に摂りこまれます。少し高いかもしれませんが、それが本来のコストと思うより仕方がありません。
農薬が残留していようがおかまいなく、安く安くと自分の体に摂り入れれば、結局は自分の命が安くなってしまいます。
農薬などで処理された野菜は、多かれ少なかれ肝臓や腎臓を痛めるもとです。また、季節を無視したハウスものは、化学肥料づけの上、農薬を多量に使用しています。
輸入野菜、果物も多くなっています。輸入青果は、見てくれの新鮮さを保ち、いたむのを避ける為に、ポストハーベストといって、収穫後に農薬を吹きつけたものが多いので、うかつには手を出せません。なかなか腐らないグレープ・フルーツやオレンジは何を物語るか…、調べてみるとぎょっとするくらいの濃度で農薬が残留しているものもあるのです。
また国産物でも、色をつけたり、発色剤入りの水につけてから出荷したりで、油断は禁物です。特に切ったり洗ったりして加工した野菜は、ビタミンなど殆どなく、洗浄に過酸化水素水が使われているなど絶対避けるべきです。
農業従事者の健康にとっても、密閉に近いハウスの中で農薬をまけば、想像以上の濃度でそれを吸い込むわけで、健康にいいわけないのです。
しかし、農家からみると、消費者が好むし、コストが高くなっても儲けが多い方を、となるのでしょう。消費者も農家も「自然が最高」という見識で行動しないと、最後のツケがまわってきます。
パワーの失われ やすい野菜は、 必要分だけを確保
野菜のビタミンは時間とともにどんどんパワーが落ちます。店先に置かれている間にも、家庭で冷蔵庫の中に保存されている間にも、刻一刻とビタミンは失われます。
野菜は、新鮮なものを当座必要な量だけ求め、保管期間は出来るだけ短縮しましょう。
調理の最中にも、ビタミンなどはどんどん高速で壊れますから、考慮に入れる必要があります。
畑で採取したばかりののものと、お皿に乗って出て来た物では、栄養価は大きく違っていることを忘れてはなりません。
毒消し効果の 生野菜は 泥状ジュースで 量の確保を
そういう意味で、新鮮な野菜を二本のギアローラで絞って作る(例えば鈴木式ジュースマシン)泥状野菜ジュースは、栄養破壊が少ない、量の確保がし易いという点でとてもいいと思われます。どんな野菜も大根おろし状になりますが、これに少量の胡麻油をたらしてかきまぜ、すぐ食べます。生野菜の欠点は、量の確保がしにくい点にありますが、これならどんぶり一杯でも楽々食べられます。
泥状ジュースを毎日摂るようにして、わかったのですが、非常に体調が良いのです。
先日、止むを得ない会合に出席したところ、会食が動物性食品中心の上にお酒をしこたま飲まされました。日頃口にしないだけに、こういう場合、便秘や二日酔いなど体調の狂いがすぐ出るのが、会合前と会合後のどんぶり一杯の生野菜泥状ジュースで、すっきり目覚め、便も大量に出て何の不快症状も残しませんでした。生野菜の毒消し効果は大したものだと改めて思い知らされました。
自然農法の野菜を生で食べると、回虫などの寄生虫が心配という人もいますが、泥状ジュースをたっぷり食べていると繊維分が多いので、便秘ということがなくなり、そうなれば、たとえ回虫の卵が入ってきても孵化する前に、排便されるので心配無用です。
サラダなどは随分食べたようにみえて、実際にはわずかな量しか食べていません。
ガン予防効果の ある野菜
野菜には、ミネラル、ビタミン、葉緑素、食物繊維など微量栄養素がいっぱいです。また、個々の野菜それぞれに特有の成分があり、それに応じて食効ともいうべきものがあります。これを一つ一つとりあげていたらキリがないので、ここではガン予防に良いとされる野菜だけを紹介しておきましょう。
★一つは緑黄色野菜
ベータカロチン(プロビタミンA)と、特に葉緑素(クロロフィル)にガン予防効果があります。
緑の血とも呼ばれる葉緑素は植物の血液にあたり、人体内では造血・浄血の他に、殺菌・制菌、末消血管拡張作用、新陳代謝の促進、抗アレルギーの作用があります。そして、近年、ガン抑制作用まであることがわかり、ガン抑制因子のインターフェロンを増やすことが確認されました。
★もう一つはあぶらな科の野菜です。
キャベツ、芽キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、大根、白菜、小松菜、高菜、京菜、かぶ、クレソンなどに抗ガン効果が認められています。
★さらにきのこ類の
椎茸、しめじ、えのきだけ、はつたけ、まいたけなど。
ガンになってからあわてふためくより、毎日こつこつとこれらの野菜を摂って下さい。
―毎日のスタミナ食に―
根菜・芋・納豆・海草・ゴマペーストをたっぷり入れた味噌汁を
不老長寿に不可欠な、伝統的発酵食品。日本の代表的発酵食品は味噌ですが、味噌と野菜の理想的な組合せである味噌汁を、毎日欠かさず摂りましょう。
泥状ジュースはどうしても葉菜中心になりがちです。そこで味噌汁の具には、繊維分が豊富な根菜をたっぷりと。
さらに、根菜入りの味噌汁に、海草や納豆やゴマペーストを入れると、微量栄養素満点のスタミナ食になります。
ワカメなど海草類や芋も、味噌汁の具にどんどん使ってください。厚生省は一日三十種類以上の食品を摂ろうといっていますが、味噌汁はその数を確保するのにも、もってこいです。
芋類は米がなければ、主食にもなります。芋を良く食べているところは、健康で長寿を保っているところが多いのです。芋はさつま芋でも、じゃが芋でも、さと芋でもなんでもかまいません。芋を毎日食べるということが大事なのです。
海藻もとても重要です。単にミネラルが多いというだけでなく、海藻特有な成分があるのです。こんぶ、わかめ、あらめ、ひじき、のりなど、一品は味噌汁に、一品は煮物にしておけば、二種類の確保は難しくありませんね。