自己治癒力を理想的に刺激する放射線ホルミシス

ホルミシス治療のメッカ、オーストリア・「ガスタイナー・ハイルシュトレン」(治療坑道)の凄さ

健康増進クリニック 水上治院長

 水上治先生は東京衛生病院健康増進部長として活躍された後、2006年に補完代替医療を重視した「健康増進クリニック」を開設され、統合医療を中心に、現代医学が苦手とする予防医学を始め、完治が難しいとされるがんや難病などあらゆる病気の治癒に取り組まれています。
 その治療の一つに、「放射線ホルミシス治療」があります。
 「放射線ホルミシス(低線量放射線ホルミシス)」とは、極微量の放射線は人体に無害であり、むしろ体を刺激し、免疫力を上げたり、活性酸素を減らすなどの働きがあり、病気の治療に大いに役立つものとされています。
 クリニックでは「ホルミシスルーム」を設けてホルミシス治療が行われていますが、ホルミシスルームのモデルは昔から行われているラドン温泉にあります。
 水上先生は08年、患者さんを率いてホルミシス治療のメッカといわれる、オーストリア・バドガシュタインの「ガスタイナー・ハイルシュトレン」への治療ツアーを敢行され、大きな収穫を得られました。
 放射線ホルミシスは「究極のアンチエイジング」といわれ、ご自身、週1回はクリニック内のホルミシスルームに泊り込み、「白髪や抜け毛が減って、10年若返ったと皆さんにいわれます」と話される水上先生に、ガスタイナー・ハイルシュトレンに於ける臨床応用を中心に、ホルミシス治療についてお話を伺いました。

オーストリア 「ガスタイナー・ ハイルシュトレン」の 坑道療法
ハイルシュトレン治療坑道 17万ベクレルのラドンガス

──本誌はこれまで放射線ホルミシスについて、ホロス松戸クリニックの村上信行先生、日本に放射線ホルミシスを紹介された服部禎男博士、東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニックの川嶋朗先生にお話を伺っています。
 今回は水上先生に、ホルミシス応用治療の実際の成果と、ホルミシス治療のメッカといわれる、オーストリアの保養地バドガシュタインにある「ガスタイナー・ハイルシュトレン」の治療坑道に於ける先生のご見聞を中心にお話をお願いします。
水上 理論面では微弱放射線ホルミシスは「がんにも期待できる」という話が多いのですが、実際に今我々が使っているホルミシスルーム(ラドンボックス)はラドンガス濃度が数千ベクレル(Bq/m3)程度で、がんの予防にはなると思いますが、単独でがんを打ち消す力は、実際例ではまだありません。
 一方、ハイルシュトレン治療坑道は17万ベクレルものラドンガスを吸えますから、これは本当にすごい量です。
 最初に訪れたのは昨年3月末から4月にかけ、友人の高良毅医師(タカラクリニック院長)とスタッフ2名で患者さん6名を率いた6泊8日の治療ツアーでした。
 週1回はクリニックのホルミシスルームに泊り込み、ラドンガスには慣れている私でも、坑道内の暑さとラドン濃度は聞きしにまさるもので、ホルミシスルームより遙かに「これはすごいものだ。非常に効くな」という体感がありました。この体感というのが、治療の継続には大事なんですね
 ただ、正確なことではありませんが、我々のホルミシスルームのラドン濃度が仮に1万ベクレルだとして、合計で17時間入れば、ハイルシュトレン治療坑道に1時間入ったのと同等の価値があるとすれば、繰り返し入れば似た効果は期待できるだろうとは思います。日本の玉川温泉や三朝温泉、その他のラジウム温泉でも数千ベクレル程度のようですが、それでもかなりの効果をあげているようですから。

坑道療法

水上 1日目は下見もかねて滞在ロッジのある町からガスタイン渓谷にある坑道治療施設へ行きました。ここはローマ帝国時代から金山として知られ、重労働にもかかわらず、坑道労働者のいろいろな病気が治ることでも知られていたところです。
 付属クリニックで医師から治療説明を受け、翌日から坑道治療が始まりました。
 坑道には電動トロッコに乗り、奥深くへ進むにつれて気温がどんどん上がり全身汗ばんできます。治療用坑道は4つのステーションがあり、一番奥のステーション4は最も治療効果があるといわれますが、湿度100%、温度41度ときついので、我々は一番過ごしやすいステーションで降り、好みの場所にある木のベッドに横たわります。たちまち汗が滝のように噴出してきます。
 1時間近く横たわった後、帰りのトロッコを待つ間、倦怠感が襲って、ドッと疲れが出てきます。それも心地よい疲労感で「ああ、効いてる」という感じです。
 地上へ戻ると病院の待合室に直行。しばし休憩後、エクササイズやマッサージで身体をほぐして坑道治療は終了。宿に帰るとすぐベッドに横になり瞬く間に寝入り、翌日は快適に目を覚ましました。
 この坑道治療は1日おきに1回1時間。それ以上は入れません。強いから毎日はダメだということです。理想的には1期10回程度が良いらしく、そうすると20日間はかかります。10回入るといろんな病気がかなり良くなり、その効果は1年くらい続くといわれています。
 例えば、リウマチの人は1年近く痛みが止まるとか、関節が腫れにくくなるといいます(図2参照)。我々のツアーでは3〜4人の方がリウマチで、リウマチの人はやはり体感がありました。関節の強ばりが楽になるとか、痛みが少し減ってくるとか、みなさん少しずつ良くなっていると感じますね。リウマチや膠原病などの免疫系の異常にはまず試す価値有りということですね。
 残念ながら、クリニックに設けている数千ベクレル程度のホルミシスルーム(ラドンボックス)では1時間入っても「非常にいい」といった体感は得られません。
 10万ベクレル以上出るようなラドンボックスができたら医療革命が起きると思いますが、今のところは、ホルミシス治療によるダイナミックな体感を得るにはハイルシュトレンへ行くしかないでしょう。
 私個人はホルミシスルームに泊り込んでいるので体感は得ていますけれど、患者さんはホルミシスルームに1時間ですから。
──坑道に入って浴びる直接線量はどのくらいなのですか?
水上 直接線量は弱いです。ガイガーカウンターで測ってみましたが、1時間当たり1マイクロシーベルト(μSv/h)程度で、全然弱い、ビックリしました。
 けれどラドンは強烈ですから、おそらく長い時を経て洞窟の奥の方にラドンが溜まっていったのだろうと思います。入り口から奥までは1・8kmです。
 17万ベクレルは強すぎるという意見もやっぱりあります。我々は大丈夫だと考えていますが、それは自然放射線の10万倍までは安全だという数多くの論文に基づいています。
 しかし、細胞レベルでは修復されているとは思いますが、まだ確証があるわけではないですから、1万ベクレル程度の方がかえって良いのかもしれません。私としては1万〜2万ベクレルは欲しいと思います。

究極の病気予防・ アンチエイジング

水上 昨年はハイルシュトレンに10月にも訪れ、坑道には都合6回入りました。行く度にみんなに「若返った」といわれ、個人的にはホルミシスは究極のアンチエイジングの方法だと思います。
 アンチエイジングにはいろんな方法がいわれており、最近では「カロリー・リストリクション」、すなわち摂取カロリーを3割減らせば約3割程度寿命が伸びることがいわれています。これはほぼ確定的なようで、私も1日1300キロカロリー以下に抑えていますが、ハイルシュトレンはカロリー・リストリクションに匹敵するか、それ以上の効果があると思わされました。
 私自身、クリニックのホルミシスルームに毎週1回泊り込んでいる体験からも、放射線ホルミシス療法は、病気の予防、アンチエイジングには最適と思われます。疲れがとれるだけではなく、肌がきれいになりますし、白髪や抜け毛も減って黒髪が蘇ってきます。周囲からも、昔より若くなったとよくいわれています。

ハイルシュトレンの 臨床適応

水上 これはハイルシュトレンでの病気の適応の一覧表(表)ですが、臨床的なことを申し上げると、特に難治性の皮膚疾患は試す価値があると思います。
 また、リウマチ、膠原病もよく適応すると思います。膠原病の中でも全身性エリテマトーデスなどのトップクラスの難病もジワジワッと効いてくるようです。
 これらの病気に関しては、私のクリニックのホルミシスルーム(ラドンボックス)でも、何十回と継続的に入っているとデータが良くなっていく感じがします。
 坑道治療の効果は科学的に検証されており(図3参照)、ドイツとオーストリアでは健康保険適用になっています。ですから、オーストリア人とドイツ人は保険に入っていれば基本的に無料です。
 その点、日本は遅れています。認めているのは西洋医学のみ。しかも、病気は教科書だけでは治せないのに、教科書にあることしか正当性を認めない。しかし、現実に、ハイルシュトレンでは治癒力を刺激して本質的に治っているのです。

放射線ホルミシスの 臨床応用
空前絶後! 細胞レベルで SOD活性が上がる

水上 放射線ホルミシス治療は、究極のアンチエイジングと申し上げましたが、アメリカのアンチエイジングの最新文献にも放射線ホルミシスは掲載されており、世界的にも注目されています。
 まだ動物実験での論文ですが、ミトコンドリアの活性を上げて、SODとか、グルタチオンとか、カタラーゼとか、活性酸素を消去する酵素の能力を1・5倍も上げています。これはおそらく人間でもそうだと思います。
 活性酸素を抑えるには、抗酸化物質をサプリメントで摂ったり、食事で摂ったり、点滴で摂ったりして、体内のフリーラジカルや活性酸素を減らすという方法があり、それがアンチエイジングにもつながるわけですが、けれども細胞レベルで変化はしません。
 ところが、放射線ホルミシスだけは、細胞のSOD活性が上がるのです。これこそが放射線ホルミシスの最大のポイントであり、私が放射線ホルミシスに惚れ込んでいるのは、正にそこによっています。
 放射線ホルミシスでは、免疫を上げるとか、糖尿病にいいとか、いろいろのデータが報告されていますが、何といっても細胞のSOD活性が上がるということは、革命的であり、その方法は放射線ホルミシス以外にないのです。
 免疫を上げるとか、活性酸素を下げるとかの方法は沢山あります。ビタミンCの点滴療法は私も施していますが、点滴が終われば元に戻ります。
 ところが、たった1時間のラドンガス吸入で、細胞レベルでSOD活性が上がるのは、臨床的な観察ではおそらく2〜3週間持続するのです。これは空前絶後のことなのです。

更年期障害

水上 更年期障害で頭痛や肩こり、体がだるい、無気力、冷え・のぼせ等のホットフラッシュだとか、体調を崩した女性から「何かいい方法がないか」と相談されました。
 ホルモン療法は副作用もあり、私はあまりすすめたくはなく、それは最後の手段にしたい。
 私は「何か困っちゃった」、「これは西洋医学では苦手だよね」という場合、いろいろ話し合った上で本人が納得したら、ラドンボックスをすすめます。
 この時も「だまされたと思ってラドンボックスに入ったら」とすすめて、2〜3回入ったところで感想を聞いたら「治りました」ということでした。
 1回目でちょっと調子良くなり、2〜3回続けたところで、頭痛、肩こり、めまい、だるいなどそれらがピタッと止まったというのですね。
 ハイルシュトレンの適応一覧にも更年期障害は載っていますが、更年期障害になぜ効くかはわかりませんけれど、ホルモンにも何か影響するのかもしれないと思っています。

30年来の頭痛

水上 80歳近い男性が、30年来の頭痛で病院に行っても痛み止めをくれるだけでパッとしない。自信までなくしてきたといいます。年を取ってくると、頭痛だとか体調が悪いとかのことで、人生が後ろ向きになりがちなんですね。
 困るとラドンボックスにぶち込むというのが僕の悪い癖で(笑)、
「保証もできないけれど、害もないし、温まるし、気持ちがいいから」とすすめてみました。
 その男性もラドンボックスに1時間入っただけで、30年間毎日苦しんだ頭痛がピタッと止まったんです。
 相性がたまたま良かったと思いますし、みながみなそうなるとは思いませんが、やはり血流が良くなるなどの効果ではないかと思います。
 本人も効くのがわかり、頭痛に対しては恐怖心がありますから、今でも1週間から10日に1回、ご夫婦で入りにこられています。
 頭痛がなくなったことで人生が前向きになり、いろんなことに意欲が出てきたとすごく感謝されています。

記憶力・脳疾患

水上 夫人の方は特に病気はないのですが、「何か変化ありますか?」と聞いたところ、「このせいかどうかわからないけれど、積極的に人生を生きられるような感じになり、記憶力が良くなりました」といわれるんです。
 80歳近い女性ですから普通は記憶力は落ちる一方です。それがいろんなことを覚えられるようになってきたと。
 実は放射線ホルミシスは、脳に効くという論文も結構報告されており、少なくとも痴呆症の予防にはなるかと思われます。血流は確かに良くなりますし、脳細胞にも当然ラドンは行きますから。
 呆けも、脳の活性酸素が増えた結果アミロイド蛋白が溜まっていくわけですから、期待はできます。
 パーキンソン病も活性酸素が関与しているので期待できるのではないかと思います。実際に、進行を止めるとか、多少の改善が見られるという情報はあります。
 ただし、相当継続しないといけない。パーキンソン病では1人の方にすすめましたが、10回くらいで脱落してしまいました。ハイルシュトレンなら10回で効くかもしれませんが、ラドンボックスでは10回程度では無理です。

免疫力・自己治癒力を上げる
〜病気予防は 継続的に月2回程度〜

水上 放射線ホルミシスは自己治癒力を刺激して、勝手に治ってくれる素地を作ってくれます。
 今の医学は、不定愁訴などに対しては自律神経失調症などという、病名の屑籠みたいのにポンと投げ込む。自律神経失調に効く薬はありませんから心身症扱いし、「ストレスコントロールが下手だから、心療内科や精神科に行きなさい」とお茶をにごしています。
 そういう人でもラドンボックスに入っていただくと、体調が良くなる方が多いのです。
 我々のラドンボックスは万病に効くわけではなく、線量も弱いし、ラドンも弱い、満足はしていませんが、それでも下手な薬を出すより良いと思われる事例が多くあります。
 まず、風邪をひかなくなる。これはみなさんそうおっしゃいます。少なくてもひく回数が数分の1に減りますね。間違いなく免疫力が上がるんです。ですから、新型インフルエンザも罹ったらすぐ入ればいいという人もいます。
 ただし、弱点は即効性はない。1時間入ると、その直後からガーッと免疫力が上がるということはなく、大体2日後、3日後くらいから良くなってきます。ですから、インフルエンザに罹ったとして、その時すぐラドンボックスに入ればすぐ治るというほど甘くはないとは思います。
 みなさんの話を聞くと、1時間入ると2〜3週間は効果が持続するけれど、1ヶ月もすると切れてくるといいます。普段から週1回から月1〜2回くらい入られることをおすすめしています。

禁忌はなし

水上 禁忌は全くない。ハイルシュトレンでさえも直接線量は1マイクロシーベルトですし、妊娠中でも大丈夫です。むしろ安産になると思います。
 その根拠は、三朝温泉は町全体ラドンが充満していますが、町民は全てそこで人生を送り、がんのリスクは半分という論文もあります。三朝町民の奇形児率とか、発がん率とか見れば問題は全くないんです。我々のラドンボックスは三朝レベルですから推して知るべしです。

西洋医学の限界
エビデンスよりも実証

水上 とにかく、更年期障害もそうですが、いわゆる不定愁訴、得体の知れない症状に対して、西洋医学は全く苦手です。
 西洋医学の処方は、痛いなら鎮痛剤、痒いなら痒み止め、血圧が高ければ降圧剤、血糖が高ければ無理に血糖を下げる。ことほど左様に西洋医学は、悪くいえば暴力的に、無理矢理にある現象をある方向に押しやる。それによる副作用は当然あり、細胞レベルで見たら良いはずがないのです。
 しかし、大半の医者はそれに満足し、科学的だとか、エビデンスがあるとかいう一方で、自分が病気すると薬を飲まない。
 118人の米国の腫瘍専門医に、「ステージ4の全身にがんが転移している患者さんが来たら、抗がん剤を出しますか」と質問したら、84%が「もちろん処方します」と答えた。次に「では、先生たちがステージ4のがんだったら化学療法や抗がん剤を受けますか」というセカンドクエスチョンには、1人も受けると答えなかったという専門誌のレポートがあります。
 手術も同じです。どんどん施すけれど、自分は受けない。
 西洋医学の医者は、本音と建前が絶えず分離している。そういう世界です。
 西洋医学は結局、対症療法でしかなく、症状は和らぐけれど、全然治っていない。進行がん一つ、難病一つ治せない。治せると思ってるのは、放ったらかしても治るケースだけなのです。
 自然治癒力で大半の病気は勝手に治るのです。治らない人は免疫が下がっているからであり、それこそ普段からきちんとした食事を摂っていないから治らないのかもしれません。西洋医学はそういう発想に乏しいのです。
 そういう意味からも、自己治癒力を刺激する放射線ホルミシスは実に素晴らしいものだと思います。