中国"毒菜"に代表される知ったら食べられない輸入野菜の実態

日本子孫基金 小若順一事務局長

低い食料自給率の中、中国輸入野菜の激増

 日本の食料自給率が低い中、輸入自由化が早くから進められてきたにもかかわらず、野菜は70年代後半までほぼ100%国内産でまかなえました。しかし85年を境に輸入が増え始め、90年代に入ってからは生鮮・冷凍野菜を中心に中国野菜が激増、今や野菜の自給率は80%近くまで落ちています(図1・2)。
 広大な土地と膨大な人口、大量の農薬と化学肥料に支えられた中国野菜は、国内産に比べブロッコリーで約9割、アスパラガスで約6割、ネギで約5割(農林水産政策研究所)という"激安"ぶりで、ただでさえ競争力が衰えている国産野菜を圧迫しています。
 その中国野菜が実は、農薬に高濃度に汚染され、20年以上も前に使用禁止になった農薬まで混入していた"毒菜"だったことが昨年から今年にかけて次々に発覚、改めて輸入野菜の怖さを知らしめました。
 輸入野菜は収穫前に使用される農薬(プレハーベスト農薬)だけではなく、収穫後のポストハーベスト農薬も問題です。輸入野菜のポストハーベスト農薬汚染にいち早く警鐘を鳴らした日本子孫基金の小若順一事務局長に、今回は中国野菜を中心に輸入野菜の危険性を伺いました。

中国の農薬・農業事情
──上海周辺の都市近郊農村取材記──
無防備な農薬散布ズサンな農業実態

──今年4月と7月に中国の都市近郊農村を見て回られたそうですね。
小若 日本で大騒ぎになっている最中、上海を起点に江蘇省の蘇州と無錫、浙江省の杭州の都市近郊農村を取材してきました(地図)。4月は農村の中を歩いて、7月は車で回ったんですが、一端にしろ、中国の農村をこれほどつぶさに見て回った日本人はいないかも知れません。
 日本にはここら辺りからも野菜が入って来ています。無錫からは"有機野菜"も入って来ています。ところが丸4日間、朝から晩まで車で隅から隅まで傍若無人に取材して回っても、"有機野菜"を作っている所には一度も当たらなかった。ここからの"有機野菜"はほぼ間違いなく偽物でしょうね。
 4月はちょうど寒波が来て農薬散布の風景には出合わなかったんですが、7月に行った時には水田ではマスクなし、素手に素足で、息苦しいほど農薬臭が漂う中、皆平ちゃらで農薬を撒いていました(写真1)。日本の農薬使用もひどいけれど、さすがにマスク、手袋、長靴で防御しますよね。ところが中国の農民は農薬が恐いという意識が全然ない、ここが日本と全く違うところです。
 散布時間などルールを決めているのか、夕方4時半頃になると田んぼに雲霞の如く人がワッと出て来て、全員靴を脱いで田んぼに入り、一斉に農薬を撒くんです。
 とにかく人が余っているから、農業は機械に頼らずもっぱら人海作戦。その人海作戦で虫をとってくれればいいけれど、肥料は化学肥料をバサッと畑が白くなるほど撒いたり、そうかと思うと肥柄杓だったり、古い農業と新しい農業が入り混じっているように見えました。化学肥料を大量に使うのは連作したり、兼業農家が多く、手間暇かけずに収量を増やすためもあるのかも知れません。

小規模農業ながら日本をしのぐ豊かさ

小若 意外だったのは小規模農業。農地は国から50年契約で借りているんですが、幹線道路沿いの広い農地は工場用地として借地権を外国企業などに売り、残った農地を分配しているんです。
 幹線道路は工場か水田がほとんどで、高収入が見込める野菜ハウスは農家の庭につながる畦道の奥と、狭い農地にはいろんな作物が植えられてました(写真2)。
 幹線道路までの道は整備されてなく、畑から狭い道までの運搬も人力でやっている様子。輸送に時間がかかるのに野菜がピンとしているのは出荷前に有機リン系農薬をかけている疑いがあります。
 中国では農村の疲弊が問題になっていますが、我々が取材した上海周辺の都市近郊農村は香港や上海中心に3000万人といわれる豊かな層をバックに、野菜の生産販売と土地使用権の売却、それに工場勤務などの兼業で、日本の暮らしぶりをしのぐ豊かさ。中でも杭州近郊の農家はものすごい豪邸を構え、パソコン始め最新の電化製品に囲まれ、バイクも何台もあり我々を驚かせました(写真3・4)。
 農村を道案内してくれた蘇州の市場で野菜を売っていた農婦は「これだけ豊かになったのはここ10年。開放前は指示された野菜しか作れなかったのが、今は需要のある作物を自由に作って売ることができるから」と話していました。

農薬・化学肥料の大量使用で可能になった生鮮・冷凍野菜の輸出

──中国作物は安心だといわれていた時代もありましたね。
小若 1970年代から80年代半ばまでですね。経済力がなければ農薬も使えませんから。農薬や化学肥料をこんなに大量に使うようになったのはここ15年からせいぜい20年です。
 それまで中国の輸出農産物は、乾物の大豆や金針菜とか、加工品の山査子などが主だったのが、農薬や化学肥料が使われ出して野菜の大量生産が可能になり、生鮮野菜や冷凍野菜が増えて来たわけです(表1・2)。
 中国農業は毛沢東以降、飢餓対策を第一に小麦、大豆、トウモロコシに加えて米の自給を最優先してきたのが、開放政策によって都市近郊では穀物が滅り、都市部で需要の高い園芸作物を主に作るようになり、これで潜在失業者1億5千万人とされる農村の失業者対策と外貨獲得もはかられているわけです。
 一方で、昨年暮のWTO(世界貿易機関)加入による市場開放で今後輸入されるであろう安いアメリカ産の穀物にどう対処するかが問題になっています。
 今、日本に入ってくる中国野菜のほとんどは生産から輸入まで日本主導の開発輸入です。だから、中国自体はあまり儲かってない。今後園芸作物を独自で開発して、輸出産業に育て上げていくには、今のズサンな農業から脱却する必要があります。
 今回、中国国内の農薬問題を中国政府が公けにしたのも、そのためには膿を出して、農民の意識を変える必要があったためと考えられています。
 『人民日報』の報道によると、中国農業省は2005年までには残留農薬基準が国際基準に見合うようになるだろうといっています。

中国での農薬禍
──国内流通野菜の半数が基準を上回る残留農薬──

──そんな野菜を作ったり食べたり、中国国内の健康被害はどうなんでしょう。
小若 香港では返還前の10年以上も前から被害が出ており、中国野菜を食べた人たちが残留農薬中毒で病院に担ぎ込まれていたというのは事実です。それで香港では中国野菜を「毒菜」と呼んでいるそうです。中国国内でも年間約10万人の中毒患者が出ていると報道されました。
 だから、中国野菜が危ないというのは前々からいわれていたことなんです。
 それが公になったのは、中国政府が昨年行った抜き取り調査(01年6〜9月、全国23の中・大都市の卸売市場)で、国内販売の野菜の約半数(47・5%)が農薬残留基準を上回っているという結果を、昨年11月にインターネットの日本語版でも出た『人民日報』の報道がきっかけです。
 中国野菜の残留農薬からは、有機リン系農薬で猛毒の、国際的に使用禁止・制限されているメタミドホスや、日本では散布時の死亡事故続出で1971年に登録失効になったパラチオンなども検出されていますから、農薬中毒で死亡事故が出たとしても不思議ではないですね(16頁・表5参照)。
 だから農民は平気でも、都市部のスーパーでは軒並み「農薬を落とせる洗剤」というのが置いてあって、都市住民の農薬不安はかなり大きいものだと感じました(写真5)。農薬と合成洗剤のどっちが怖いかという問題がありますけど、合成洗剤の怖さまでは考えないわけです。
 中国での農薬事故は62%が7月と8月に発生しています。中国野菜は夏から秋口までは特に避けることです。

日本へ入って来る中国毒菜
中国産椎茸を戻したら台所中ホルマリン臭

──昨年あたりから中国野菜が危ないといわれ出して、試しにと安い中国産の生椎茸を買って家で天日干しして戻してみたら、台所中ホルマリンのような異臭がして、目もツンツンしみる。その時、中国野菜はとても食べられないなと実感しましたね。
小若 日本ではキノコ用農薬として菌床栽培には、雑菌を抑えるために殺菌剤ベノミル(ペンレート)とカビ防止剤にチアベンダゾール(TBZ)の2つが許可されています。中国でもこの2つが使われていると思いますが、椎茸は雑菌に強く、農薬使用も少なくてすむんです。
 だから、椎茸にホルムアルデヒドが使われるなんて想像できない。ホルムアルデヒドの水溶液、ホルマリンは標本漬けでよく知られている消毒・防腐剤だし、ホルムアルデヒドは合成樹脂の原料にも使われているシックハウスの代表的な原因物質です。そんなものを使ったら菌が死んでしまう。
 ところが中国の輸入椎茸から、ホルムアルデヒドが多いもので、国産椎茸の数万倍もの高濃度で検出されていたんです(1995年輸入の中国産椎茸)。実際、関係者の間では前から、中国産椎茸は腐らない、箱を開けると異臭や目が痛くなると噂になっていたそうです。
 もともと椎茸には天然成分としてホルムアルデヒドが含まれているんですが、その量は少ないので問題はありません。
 中国輸入椎茸からは国内ではほとんど検出されないヒ素、鉛、カドミウム、水銀などの重金属も検出されたこともあります。
──国産の干し椎茸を戻しても、干し椎茸特有のダシの匂いしかしませんものね。
 今年8月には中国の輸入松茸から、有機リン系殺虫剤ジクロルボスが安全基準の28倍も検出されましたね。
小若 松茸は未だに人工栽培ができず、天然物だけです。輸入業者は生育から輸送、販売まで農薬を使わず、偶発混入の可能性が高いといってますが、ジクロルボスは燻煙剤として野菜の防疫用に使われますから、収穫後のポストハーベスト農薬の可能性も否定はできないと思います。おそらく、虫を防ぐために燻蒸したのです。

今年1月から生鮮・冷凍野菜の違反ラッシュ──

とにかく今年に入ってからの中国野菜の残留農薬の違反ラッシュはすごかったですね。
小若 昨年11月の『人民日報』の報道を受け、厚労省は今年1月を「中国産野菜検査強化月間」とし、中国政府から情報を得た43種の農薬について輸入時点で全ロットを検査した結果、2515件中9件、少ないようで通常の10倍という高い違反率で見つかりました(表3)。大葉(シソ)、ニラ、パクチョイは検査をパスするまで通関させない「検査命令(図3)」に、残り3品目は引き続き全ロットの検査を行うなど、厚労省の対応は一応は評価できます。
 しかし、冷凍野菜は加工食品扱いで残留農薬の基準がなく、検査対象から外れていたため、中国野菜の残留農薬問題に早くから取り組んでいる農民連(農民運動全国連合会)が検査したところ、冷凍野菜から次々に違反が見つかり、これを皮切りに国や東京都など自治体、さらに企業の自主検査も加わって、空前の違反ラッシュとなったわけです(16頁・表5)。
 一連の摘発で市場に出回る中国野菜はグンと減り、7月にはついに冷凍ホウレン草の輸入はゼロになりました。7月末には改正食品衛生法が成立し(9月7日より施行)、水際の検査の強化や、特定の国や地域の特定食品は輸入禁止できるようにもなりました。
 しかし、野菜の輸入量約300万トンという膨大な量に対して、監視員はわずか300人足らず、検査率は委託検査含めて全体の約7%(図4)という日本のお粗末な検査態勢では、違反事例は氷山の一角。しかも、検査は実態を追いかける外なく、通常のモニタリング検査では違反がわかった時点ですでに流通してしまいます(図3)。
 中国からの輸入もいづれ早々に元に戻るでしょうから当分の間、中国野菜は避けた方が無難です。

危険な農薬が高濃度で検出

──一説には日本の農薬使用量は世界一ともいわれ、先頃は無許可(無登録)農薬使用でリンゴやナシが廃棄処分になったり、日本も随分ひどいようですが。
小若 日本の野菜も農薬まみれだけれど、中国野菜で一番問題なのは各国で使用禁止・制限されている危険な農薬が高濃度に検出されたこと(表4)。
 最も多く摘発されたクロルピリホスはシロアリ駆除に使われるほど毒性が高く、しかも最高で基準値の250倍という高濃度で検出されています(16頁・表5)。残留期間が10〜15年と長く、特に子供への影響が強いということでアメリカではシロアリ駆除への使用を段階的に禁止(2000〜2005年)、日本でも昨年業界が自主的に禁止しました。農薬への使用はリンゴ、ナシ、ミカンなど皮をむいて食べる果実に限られています。それを葉物野菜にバッとかけているわけですからいいわけがない。
 さらに、ブロッコリーからは神経毒性があり日本では登録されていないメタミドホス、大葉(シソの葉)からは発がん性や環境ホルモン作用のあるフェンバレレート、冷凍ホウレン草、香草からは先ほど話した猛毒のパラチオン、また冷凍ホウレン草からは安定性が高くて容易に分解されず、発がん性も強い、20年前に国際的に製造・使用禁止された有機塩素系のエンドリンや、ディルドリンといったものまで検出されています(16頁・表5)。

それに"水"が問題
──冷凍ホウレン草からは大腸菌も──

小若 もう一つ、中国野菜で問題なのは水が決定的に悪いこと。生鮮野菜、冷凍野菜を問わず、水がネックになっています。
 今回取材した上海、蘇州、無錫では琵琶湖の3・5倍もある太湖(5頁・地図)の水を水道原水に使ってますが、遊覧船に乗ってスクリューが回るとものすごいカビ臭、ホテルのシャワーは異臭がする、街で食べたお粥やお茶までカビ臭い。現地の人は飲み水をペットボトルやポリタンクの使い回しで買って飲んでいました。
 太湖沿岸は最も経済発展の著しいところで、太湖にはさまざまな汚濁物質が流れ込んで汚染が進み、一定距離内の工場は閉鎖したりして大分きれいになったそうですが、それでもこの状態。その水が水田や畑、養殖池に流れ込んでいるわけですから、農薬だけでなく、重金属とか消毒剤とかいろいろな問題があるわけです。
 一方、問題の冷凍ホウレン草は山東省の方から来ています。黄河が干上がり年間降雨量900mmとぎりぎりの条件で水を確保している地域ですから、消毒薬を入れた溜め水を循環して野菜を洗う。そうすると何度も洗ううちに農薬の濃度が上がり、平均的に一定量の農薬がついてしまう。日本では基本的に水は垂れ流しにするし、仮に循環したとしても、最後の工程だけは新鮮な水で全部流します。
 さらにゾッとするのは、厚労省が輸入禁止を発表した食品の中に大腸菌陽性で成分規格不適合となった中国の冷凍ホウレン草があった。冷凍食品工場のトイレが汚なかったり、従業員の手洗いが不十分だったり、あるいは人糞肥料のところもあるので、溜め水や循環水で洗われている間に菌の濃度もどんどん増していくことも考えられます。
 ほとんどの冷凍野菜は8割ほど茹でて急速冷凍されていますが、熱処理が不十分だと生き残った大腸菌が解凍で目を覚ますんです。冷凍野菜のほとんどは中国からの輸入ですから、断固避けるべしです。
──中国でも水がきれいな地域はあるんでしょう?
小若 もう中国全体、水は汚いと思っていい。
 開放政策以前には反公害闘争なんかなかったから、公害物質を垂れ流し放題垂れ流した。そのつけが回って、中国全土に汚染物質がしみ渡っているんです。

ポストハーベスト農薬

──中国野菜はポストハーベスト農薬はどうなんでしょう。
小若 今回の取材では証拠は見当たらなかった。でも、輸送の問題とかブラックボックスがあって、その可能性は感じられました。
 穀物には1994年に中国産米に使用していることが明らかになり、その後もしばしば検出されています。ただ、野菜や果物についての情報はやはりないですね。

偽物の有機野菜

──小若さんの取材でも、東京都の摘発でも、有機野菜も偽物となると、とにかく中国野菜は一切口にしない方がいいということですね。
小若 知り合いの新聞記者から聞いた話ですが、日本領事館に北朝鮮の人が逃げこんで有名になった審陽からも日本に野菜が来ている。彼は現地農家と日本の商社がどうやって日本の有機認定団体を騙そうかという話を堂々としている現場にいたそうです。そこから輸入された有機認定冷凍ホウレン草からクロルピリホスが検出されたのは、当然の結果ですよね。
 僕達が取材したほぼ同時期に、日本の有機認定団体が認定作業に行っているんです。認定というのは10ヶ所あったら10ヶ所全部回るのが原則なのに、日時と場所を指定され、10のうちの1つか2つ見ただけで10認定して来る。そんな馬鹿な話はない。
 こんなんだから偽の有機野菜が出回るのも当然です。

遺伝子組み換えは世界初
自然派のイメージとはほど遠い

──遺伝子組み換えまではいってないですか。
小若 取材をしてないからわからないけど、中国はタバコで世界で最初に遺伝子操作を導入した国ですから、当然そういう発想はあるでしょうね。だから、これからバンバン出て来ても不思議はない。
 中国人が自然派なんて、今はかけらもないと思う。杭州の漢方薬の博物館前に杭州一大きな薬膳レストランがあって、期待して行ったら、それがクワイとかセロリとか5品ぐらいを塩と化学調味料に澱粉でとろみをつけて調味しただけの代物。中華料理は医薬同源とか、そんなイメージは捨てなければいけないと思いましたね。

世界中、偽物食品だらけ

──キャンペーンを張られてもう10年以上、今ポストハーベスト農薬はどうなんですか。
小若 ポストハーベスト農薬問題はあれほどキャンペーンしても相も変わらずで、バナナがちょっと減って、レモンでは代替品が選べるようになっただけです。
 最近、アスパラガスを国産3種類、アメリカ産と中国産を各1種類、買って切り口を水に浸けておいたら、48時間後に国産は穂が伸びたのに、輸入された2種類は穂が伸びなかった。
 オーストラリア有機小麦使用のパンから普通のパンの3倍も農薬が検出されたり、とにかく汚染食品と偽物食品だらけ。もうこれは世界共通、中国野菜だけの問題ではないんです。

農薬づけ野菜への自衛策

小若 自衛策としては以下のことに気をつけるしかないですね。
・安さより安全。素性のはっきりした国産有機栽培のものを買う。農薬栽培でも、輸入物よりは国産の方が新鮮さやポストハーベストの面からまだしもベター。できればハウス物より農薬が少なくて済む旬の露地物を。
・できるものは自家栽培する。
・いつまでも腐らない野菜、果物は食べない。
・食べて変な味がしたら破棄。
・農薬野菜を食べる場合はスポンジやタワシなども使って流水で徹底的に洗う、皮はむく、茹でる場合は茹でこぼしてさらに水でさらす。だから、大葉など農薬が中まで浸透してしまう野菜は自家栽培か有機農法に限るしかないですね。
・冷凍野菜は買わない、食べない。どうしても食べる場合は、茹で処理したものでももう一度茹でこぼす。外食産業や加工食品には大量に使われてますから、外食や加工食品はできるだけ避けることです。

『食べるな、危険!』

小若 この10月に、これまで18年間の日本子孫基金の活動成果をまとめた『食べるな、危険!』が出ました。幸いに好評で4日で再版が決まりました。
 中国野菜に限らず、あらゆる食品の問題点、またおいしく安全で、自然に近い食品を選ぶノウハウも満載しています。
 そうしてみんなが選ぶ食品を少し変えていくことで、農業、水産業、食品加工業が自然な方向に戻され、健康も環境も少しは良くなっていくことを願っています。
(取材構成・本誌功刀)
表5 残留農薬の基準値を越える、中国からの輸入毒野菜摘発の主な経緯
年月
輸入野菜
農薬
経緯
02.2大葉
ニラ
ブロッコリー
パクチョイ
菜心
ケールなどフェンバレレート
クロルピリホス
メタミドホス
クロルピリホス
ジクロルボス
クロルピリホス厚生労働省が「中国産野菜検査強化月間(02.1.4〜31)」の結果を発表。
6品目9件に基準値を超える農薬が検出。
大葉、ニラ、パクチョイの3品目6件が「検査命令」。02.3冷凍ホウレン草(ダイエー)
冷凍ホウレン草(ノースイ)
冷凍枝豆などクロルピリホス、
シペルメトリン
クロルピリホス、
エンドスルファン、
シペルメトリン
フェンバレレート農民連が中国産冷凍野菜の検査結果を発表。同時に、「厚生労働省の検査には重大な抜け穴があります。それが冷凍食品です」※と
批判。
※冷凍野菜は加工食品扱いなので残留農薬基準が定められていない。02.5冷凍ホウレン草(21件)ディルドリン(1)
クロルピリホス(19)
パラチオン(1)02年3月20日、遂に厚生労働省も中国産冷凍野菜についてモニタリング検査の実施に踏み切る。5月に結果発表。
以後、以下の如く冷凍野菜の違反事例ラッシュ。02.5冷凍ホウレン草クロルピリホス東京都はファミリーレストラン「ジョナサン」のホウレン草ソテーから最大12倍検出と発表。02.6冷凍ホウレン草クロルピリホス東京都は「丸紅」輸入・「ローソン」販売のものより検出と発表。02.6冷凍ホウレン草クロルピリホス「雪印乳業」は子会社「雪印冷凍食品」の中国製造バター炒めホウレン草から検出したため、自主回収すると発表。02.6冷凍ホウレン草クロルピリホス東京都は「イトーヨーカ堂」輸入販売品より検出と発表。販売中止。
02.6冷凍ホウレン草フェンバレレート「味の素冷凍食品」は同社が輸入したものより検出と発表。02.6冷凍ホウレン草クロルピリホス東京都は「ユキワ」輸入、JONA認定の有機JASマークつき冷凍ホウレン草から検出と発表。02.6冷凍ホウレン草クロルピリホス東京都は「蝶理」輸入のものより基準値の250倍検出と発表。02.6冷凍ネギクロルピリホス「ダスキン」は子会社「ミスタードーナッツ」汁そば用より検出、出荷前に回収と発表。発見は下請け業者の自主検査によるもの。02.7セロリクロルピリホス基準値以上を繰
り返し検出。厚生労働省は廃棄検査を命令。02.7冷凍ホウレン草クロルピリホス農水省は神戸市の「フードサービスジャパン」輸入・関東地区発売
の品より基準値の180倍に達する量が検出と発表。02.7冷凍枝豆フェンバレレート農民連が居酒屋等で使用されているものより検出と発表。02.7冷凍枝豆クロルピリホス東京検疫所で検出。厚生労働省は輸入検査の強化を決定。02.8冷凍ホウレン草「日本ベビーフード協議会」が離乳食への使用中止を表明。02.8マツタケジクロルボス関西国際空港で基準値の28倍に達する量が検出される。02.9シュンギククロルピリホス東京検疫所にて基準値の7倍に達する量が検出される。02.9冷凍ホウレン草健康被害が懸念される食品に
ついて、国を特定して輸入差し止め
が行える「改正食品衛生法」の施行(02.9.7)を受けて、厚生労働省、中国禁輸措置通告へ。中国側は反発。02.10冷凍
 カリフラワーメタミドホス冷凍カリフラワーより相次いで検出され、
厚生労働省が輸入検査を強化。輸入業者に「検査命令」。
新聞資料などより作表