福田・安保理論による「自律神経免疫療法」

――自律神経の調整でなぜ免疫系が活性化し、万病が治るのか――

昌平クリニック 福田医院 福田稔先生

人はなぜ病気になるか
病気はなぜ治るか
──「福田・安保理論」の誕生── 
病気は、自然を無視した結果

──人はなぜ病気になるか、反対に病気はなぜ治るかが、「福田・安保理論」では実に明解ですね。
福田 薬を使わない、あるいは手術をしないで病気を治す。例えば鍼灸、気功、食事・栄養療法などいろいろなアイディアで病気が治るのは、「福田・安保理論」で全部説明できます。
 病気はそもそも、自然を無視した結果です。自然を無視し、自然に反した生活が、自律神経のバランスを崩し、それによって白血球のバランスが乱れ、血流障害や活性酸素の過剰生成を招き、その結果、免疫力が低下し、自然治癒力が著しく低下して起こるわけです。
 一方、「福田・安保理論」で多くの病気が治ってくるのは、自律神経を整えることで白血球のバランスがとれ、それで自然治癒力が高まるからです。それがわかると、いろいろな病気が実に楽に治ってきます。ところが自然治癒というのがわからないから、今の医学は変な方向に行って変なことをやっているのです。

高気圧のゴルフ日和は重症虫垂炎の急患が多い

──「福田・安保理論」は、ゴルフの日にはなぜか虫垂炎の急患が多く、ゴルフが取り止めになってしまうという、福田先生ご自身の体験がきっかけで生まれたそうですね。
福田 晴れた日には虫垂炎の患者さんが来院し、ゴルフができなくなることがしょっちゅうあって、それで気象と虫垂炎の発症について研究を始めたんです(表1)。
 3年間の研究で、"気圧が高く晴れた日には要手術の重症な虫垂炎(壊疽性虫垂炎)が多い”、反対に、"気圧が低く雨になるような日には中〜軽症の虫垂炎(蜂窩織炎性やカタル性の虫垂炎)が多い”ことがわかりました(表1)。
 この研究をきっかけに新潟大学の安保徹先生との共同研究が始まり、"気象の変化は自律神経を介して白血球に影響を及ぼし、人間の免疫力に大きく関わっている”ことが明らかになってきました。
 そこでこの3タイプの虫垂炎が発症する気象条件下での、健康な人の白血球を調べたところ、
・高気圧では、自律神経の交感神経優位で、白血球は顆粒球が多く、リンパ球が少なく、虫垂炎は手術が必要な重症になりやすい
・低気圧では、自律神経の副交感神経優位で、白血球は顆粒球が少なく、リンパ球が多く、虫垂炎は手術不要な中等・軽症が多い──ということがわかりました(図1)。
 顆粒球とリンパ球の比率は健康な人では、顆粒球54〜62%、リンパ球35〜41%前後となっています。この比率は虫垂炎では最も軽症のカタル性虫垂炎の気象条件にあてはまり、血液型では巷間、ストレスに強く長寿者が多いといわれるO型、ないしはB型がこれに近い傾向があることもわかりました(図1)。

低気圧で、天気の悪い日に症状が出やすいのは
──症状は治癒反応──

──高気圧で天気が良い日は虫垂炎は重症の患者さんが多いということですが、リウマチとか古傷を持っている方はよく天気が悪くなるのが体でわかるといいますね。雨の日は痛むとか…。
福田 痛むというのは、体を治す自然治癒の反応だと思うと理解できます。低気圧で症状が出るのは、副交感神経優位になり、リンパ球が増えて免疫が上がり、悪いものを排泄していく過程なんです。
 だから、痛みなど、症状が出るのはありがたいことなんです。それがわかっていれば、痛みなどにも耐えやすくなり、安易に鎮痛剤などに走るということはなくなります。
 がんにしても、転移していく方が治しやすい。転移するのはがんを中に閉じこめようとしないで、体から出そうとするからなんです。実際、転移がんの人の方が転移のない人よりリンパ球が多く、それだけ免疫力があるわけです。ところが、これは大変だと抗がん剤でたたくと、免疫力をすっかり落としてしまうのです。
 低気圧では温度が上がり、反対に高気圧では冷たくなります。低気圧で温度が上がると、今度は高気圧になって温度が下がってくる、その流れの中で"自律神経を介してリンパ球が変動する”というのが見えてきました。このように、自然の流れが見えたときにいろいろな病気が見えてくるのですが、自然の法則を無視して来たことで今難病が増え、それが治せないのです。

自律神経と白血球(免疫)の密接な関係 自律神経が支配する白血球のバランス

福田 このように、自律神経は免疫系に密接に関係しています。
 自律神経(図2)とは、血管や心臓、胃腸など内臓の働きを無意識に調節している神経で、交感神経と副交感神経がシーソーのように拮抗して働いています。交感神経が優位になると心臓の拍動が増え、血管が収縮し血圧が上がり、心身が活動的になります。一方、副交感神経が優位になると、心臓の拍動が抑えられ、血管が拡張して血液循環が良くなり、血圧が下がって、心身はリラックスします。この二つの拮抗する働きがうまくバランスをとっていれば人は健康であり、逆にどちらか一方に傾くと病気になりやすくなります。
 自律神経は内臓だけでなく、免疫を担当する白血球(図3)の働きも調節しています。白血球は、細菌やウイルスなどの外敵、異種蛋白(自分の体にはない蛋白質)、がん細胞などから体を守っている免疫の中心的な役割を果たしている細胞で、顆粒球とリンパ球に大別されます。
 顆粒球は交感神経が支配し、交感神経が優位になると顆粒球が増えて活性化し、リンパ球は副交感神経が支配し、副交感神経が優位になるとリンパ球が増えて活性化します。
 交感神経と副交感神経がバランスよく働いているときは、顆粒球とリンパ球の比率は顆粒球54〜62%、リンパ球35〜41%となり、病気への抵抗力も安定しています。このように、自律神経と白血球は生命活動がより効率よく、しかも安全に営まれるように連携しています。ところが、両者のバランスが乱れると、がんを含めてさまざまな病気が発症するわけです。

白血球のバランス
──顆粒球とリンパ球の働き──

福田 白血球のうち、顆粒球は比較的大きなサイズの異物やその死骸を食べて体を守っています(図3)。交感神経が優位で活動的な昼間は手足に傷を負いやすくなり、細菌が傷口に侵入する機会が増えます。こうしたとき、サイズの大きい細菌を処理する顆粒球が必要になります。
 一方、リンパ球は異種蛋白やウイルスなどの微小な異物に対し、これを抗原として認識し、抗原を無毒化する抗体と呼ばれる蛋白質を作って対応します(図3)。副交感神経が優位になる夜間の休息時や、食物を摂取し、消化吸収し、排泄しているときは、副交感神経が優位になってリンパ球が増えています。これは消化酵素で分解された異種蛋白やウイルスなど微小な異物が口や消化管から入ってきたとき、顆粒球では対処できないので、リンパ球を準備する必要があるからです。

万病は、交感神経の緊張による顆粒球の増大が原因だった!
さまざまなストレスが自律神経を狂わせる

福田 ところが、精神的、肉体的、物理的なさまざまなストレス(表2)がかかると、自律神経のバランスが乱れます(図4)。
 ストレスがかかると体はそれに対処するために、脳の視床下部(自律神経・内分泌機能・食欲・性欲などをコントロールする司令機関)から指令が出て、・脳下垂体からは副腎皮質ホルモンを出して抵抗力を強めたり、・交感神経系からは、アドレナリンやノルアドレナリンを出して心拍数や血圧などを上げ、緊張を高め、体に活を入れます。
 ところが、このような交感神経優位の状態が続くと、血管が収縮して虚血状態となり、白血球の顆粒球が多くなり、顆粒球の放出する活性酸素によって組織は破壊され、多くの病気を引き起こします(図4)。
 一方、だらけた生活などで副交感神経が優位な状態が続いても、病気になりやすくなります。副交感神経が優位な状態が続くと血管が拡張してうっ血状態となり、その状態が強くなればアナフィラキシーショック状態となることが推測されます。組織内ではリンパ球が過剰になると考えられます。
 このように、自律神経はどちらが優位に傾いてもいろいろな症状や病気を引き起こしますが、副交感神経優位から発症する病気も、慢性化したり、末期になると交感神経が優位になってきます。ですから、ごく簡単にいってしまえば、病気の原因は"もろもろのストレスから起きる交感神経の緊張”ということもできます(図4)。

交感神経の緊張がもたらす血流障害と、排泄機能の低下

福田 まず、交感神経の緊張は血流障害を引き起こします(図4)。
 交感神経は血管を収縮させる働きがあり、緊張が続くと細動脈が締めつけられて血液が流れにくくなり、全身で血流障害が起こります。血液は細胞に酸素や栄養を届けながら、細胞から排泄された老廃物や発がん物質などを回収します。血流障害が起こると、細胞が必要な栄養物は届かず、老廃物や毒素は組織に停滞します。
 老廃物には、神経を刺激して痛みやこりをもたらす物質もふくまれているため、肩こりや腰痛などの痛みが生じるようになります。また発がん物質などの毒素がたまることで、細胞のがん化も促すのです。
 一方の副交感神経は内臓諸器官の分泌や排泄を促す働きをしていますから、交感神経の緊張が続くとホルモンや神経伝達物質などが分泌されにくくなったり、内臓の排泄機能が非常に低下してきます。このように、交感神経優位の状態が続くと、二重に排泄機能が低下して、老廃物や発がん物質などの毒素が体にたまりやすくなってきます。

顆粒球増大による活性酸素の過剰生成

福田 交感神経の緊張が続くと、顆粒球が過剰に産生されます(図4)。そうすると、毒性の強い活性酸素も過剰に生成され、組織は広範囲に破壊され、炎症が起こります。
 活性酸素とは非常に傷害性の強い酸素の分子種のことで、強烈な破壊力で病原菌やがん細胞などをやっつける一方で、体内に過剰に生成されると細胞膜や遺伝子、酵素などを次々傷つけ、老化やがんをはじめ糖尿病、脳梗塞など、多くの病気の原因になります。
 体内に侵入した細菌を殺す役割を終えた顆粒球は、血液に乗って粘膜へたどり着き、最後にこの活性酸素を大量にまき散らし、周囲の粘膜組織を破壊するのです。

がんも、交感神経の緊張から

福田 がんの発生にも、交感神経の緊張からくる血流障害と活性酸素の過剰生成が大きくかかわっています。
 私達の体は約60兆個の細胞からできています。がんはこの中のたった一つの細胞が異常に増殖することで起こる病気です。
 正常な細胞は分裂回数が決まっていて、むやみに増えることはありません。ところが、細胞の核の中で細胞増殖を管理している遺伝子が変異すると、細胞は無限に増殖するがん細胞に変化します。この遺伝子の変異には、自律神経の乱れから生じる白血球のバランスの乱れが深く関与しています。
 リンパ球には、がんの攻撃が得意なT細胞と、がんを専門に殺すNK細胞がありますが(8頁・図3)、これらの攻撃力も、自律神経のバランスが安定し、副交感神経が適度に働くことで維持され、がんに対する抵抗力も高くなります。
 体ががんに負けてしまう原因は、交感神経の緊張にあり、心配ごとや過労が続き、心身にストレスが加わると、その影響で自律神経のバランスが乱れ、交感神経が一方的に緊張し、顆粒球が増加します。
 顆粒球の寿命は2〜3日と短く、役割を終えると血流にのって粘膜へたどり着き、死ぬ前に活性酸素を大量に放出し、その強力な破壊力で、臓器をおおっている上皮組織を傷つけます。すると体はこの傷を修復するために、せっせと上皮細胞を増殖して組織の再生をはかります。
 ところが、交感神経の緊張が続き、活性酸素による組織破壊が長引くと、増殖を管理している遺伝子は修復に追われて異常をきたし、正常な細胞増殖を行えなくなります。その結果、異常に増殖するがん細胞が誕生します。
 さらに、交感神経が緊張すると、副交感神経の働きが抑えられてリンパ球が減少し、がん細胞への攻撃力が弱まります。私の臨床経験では、リンパ球数が1あたり2000個以上あるとがんに対する抵抗力が強く、1800個を切ったあたりから抵抗力が弱まっていくと思われます(図5)。

万病を治す「自律神経免疫療法」 副交感神経を刺激して 血流を改善しリンパ球の数を増やす

福田 このようにみてくると、すべての病気が治癒に向かう治療の方向が明らかになります。
 一方に偏った自律神経のバランスを改善し、白血球のバランスを整えて免疫力を高めることです。 特に、病気が慢性化すればするほど交感神経に偏っていく自律神経の針を、副交感神経の側へ戻すことがポイントとなります(表3)。すなわち、交感神経の緊張を抑え、副交感神経を優位にして、血流を促進し、リンパ球を増やして免疫力を上げるのです。

井穴刺絡療法から自律神経免疫療法へ

福田 消化器の外科医だった私が「福田・安保理論」を実際の治療に応用するようになったのは平成8年11月、「刺絡療法」に巡り合ってからです。それ以来メスを捨て、針1本で免疫治療を始めて今に至っています。
 刺絡療法(井穴刺絡)の原点は、交感神経を刺激する薬指を除いた、4指の爪の生え際の両角近く(井穴)に針を刺し、少量の出血をさせて副交感神経を刺激し、血流の回復と老廃物の排泄を促進するというものです。
 現在はこの療法を発展させ、全身を診て虚血、うっ血の線や部位を見出して(それは肉眼で黒い線や点となってはっきり見えます。ここが磁場であり、急所なのです)、井穴のみならず、頭、顔面、頸部、胸部、背部、腹部、上肢、下肢に、鍼、レーザー、電子針でもって血流の改善を促し、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、膠原病、リウマチ、がんなどの治療に大きな成果をおさめています。
 この自律神経免疫療法を行うことにより、全身と局所の血流障害が改善され、体内にたまった老廃物が体外にすみやかに排泄され、健康な細胞がよみがえります。
 その証拠に、この治療を受けた95%以上の人が「治療後に体がスーッとした」、「軽くなった」、「痛みが取れた」、「動けるようになった」といっており、血流障害が改善され、体が温まり、障害が除かれたことを物語っています。

難病治療の実際

福田 こうした数多くの臨床経験を経て、がんも含めて治療困難とされる難病も、偏った自律神経の乱れを整えて、臨床的には白血球の数と、顆粒球とリンパ球の比率と数の調整を行うことで免疫力を上げていけば、自然に治癒に向かっていくことがわかってきました。
 そして、交感神経を刺激し、免疫を低下させるステロイド剤、鎮痛剤、抗がん剤を使用し、最後には自律神経なども切ってしまう手術に至る、そんな悲惨で馬鹿げた医療を早急に改める必要があることを痛切に感じてます。
〈アトピー性皮膚炎〉
福田 アトピー性皮膚炎は環境汚染による有害物質、また誤った食生活、精神的なストレスなども関与して、交感神経が優位になる結果、増多した顆粒球から血中に放出される過剰の活性酸素によって起こる皮膚反応と考えられます。したがって、予防には農薬、排気ガス、抗生物質の乱用を防ぎ、過剰な精神的ストレスや食生活の乱れなど、生活スタイル全般の見直しが肝腎です。
・17歳の男性の症例
 幼少時より発症。ステロイド剤を使用し、顔面と体は真っ黒となり、顔はこれ以上何も皮内に入ることはできないという状態で、薬はステロイド剤3剤の他に、抗アレルギー剤、抗生物質、胃薬、鎮痛剤を服用していました。
 直ちに全ての薬を中止させると同時に免疫療法を始めたところ、1週間で全身から臭い浸出液が出るようになり、身動きが困難な状態となり、入院治療となりました。浸出液はひどく、日に3度も包帯を替えなければならないこともありました。
 このような状態が3週間続き、食欲減退で輸液による治療を行なわざるをえませんでした。自律神経免疫療法と輸液により、体内に蓄積された酸化ステロイド、活性酸素などが体外に排泄され、1ヶ月後には元気になって退院していきました。
・11歳の女性の症例
 ステロイドからの離脱を目指して来院。皮膚は黒くガサガサとして、側頭部の毛髪は抜け落ち、心身共にストレス状態にありました。
 薬を全部やめさせ、免疫療法を開始して1〜2週間後には臭い浸出液が出始め、活性炭入りの吸水軟膏と、黄蓮解毒湯入りの吸水軟膏で急場をしのがせました。
 リバウンド(症状の揺り戻し)状態は2〜3週間続きましたが、週2〜3回の治療を約3ヶ月行なったところ、体内から酸化ステロイドが出終わって落ち着き、1年後には女性らしいみずみずしい肌がよみがえって、身長も5〜6cm伸び、引きやすかった風邪も引かなくなり、「本当に丈夫になった」と言っていました。
〈リウマチ性疾患〉
福田 リウマチ性疾患も原因不明な疾患であり、治療法は全く確立されておらず、悲惨な治療現実があるのみです。
 リウマチ性疾患も交感神経が優位となり、免疫が低下して発症すると考えられるので、治療は免疫を上げて、血流障害を除く方法が最も適切です。ステロイド剤、消炎鎮痛剤などによって、免疫を低下させるのはいたずらに悲惨な末路を招くと痛感しています。
・51歳の女性
 平成9年(48歳)にリウマチ性関節炎と診断され、さまざまな医療機関で治療を受けるうちにだんだん症状は重くなり、階段の昇降も思うようにできなくなって来院しました。
 来院時の白血球数は7600/mm2、顆粒球83%、リンパ球15%、リンパ球の数は1140/mm2と、かなりの免疫低下状態で、すべての薬を中止させ免疫療法を開始。
 治療後1〜2週間で、全身から臭い体液が出始め、全身の関節痛がひどくなりましたが、治療を続けるうちに疼痛は消失、3ヶ月後には身の回りの仕事が、6ヶ月後には普通の人と同じように歩行ができるようになり、現在1年経過しています。
 現在白血球数は6200/mm2、顆粒球は64%、リンパ球は32%、リンパ球数もほぼ2000/mm2に達しています。
〈がん〉
・48歳の男性
 46歳の時、検診で胃がんと診断され、「即、手術」をいわれましたが、私の治療法を選びました。
 4cm大の進行がんが治療1ヶ月後には2cm大の早期がんに、2ヶ月後には1cm大となり、6ヶ月後には完全消失しました。
 現在2年を経過し、月1度の治療を受けていますが、酒をたしなみ、普通の生活をしています。
 白血球数は過去2年間4000/mm2、非常なストレス状態であったと推測されます。現在では免疫療法により白血球数も増え、リンパ球の数も2000/mm2以上となっています(11頁・図5参照)。
・67歳の男性
 65歳の時、胃の悪性リンパ腫(MALT)と診断されました。
 この方は円形脱毛症で平成10年7月〜11年4月まで免疫療法を受けていました。
 7月に突然胃のリンパ腫と診断され、「ヘリコバクターの除菌が必要で、約6割は手術が必要になる」といわれ再来院。
 入院まで1ヶ月の余裕があり、胃を中心とした免疫療法を行なったところ、1ヶ月後には慢性胃炎となり、本人は信じられず、その後数件内視鏡検査で確認していました。
 3ヶ月経過した頃から落ち着きを見せ始め、現在ますます元気で2年経過し、白血球も交感神経優位な状態からバランスがとれている状態になっています。

原理がわかれば自分流に応用できる!
──家庭でも出来る「自律神経免疫療法」──

──家庭でも自律神経免疫療法はできますか。
福田 爪もみは自律神経に効果的な刺激を与えることができます(図6・写真)。爪の生え際には末梢神経が集中しているので、わずかな刺激でも効率よく副交感神経を刺激でき、毎日続けることで、免疫力が上がり、さまざまな不快症状が改善して体調が良くなってきます。
 手足の指の爪の生え際の両角の2mmほど下がポイントで、少し痛いくらいの強さで刺激します。私は治療ではレーザー針や注射針、電子針等を用いますが、家庭では爪の生え際の角を、反対側の手の親指と人差し指で両側からつまみ、そのまま押して揉みます(写真)。爪や楊枝の頭を使っても良いですし、やり方にあまりこだわらず、自分の最も良い刺激を体に聞きながらするのが一番です。
 注意したいのは、薬指は交感神経を刺激するのでしないこと。夜寝る前が一番効果がありますが、その他の時でも良いのです。ただし、やりすぎは禁物で、1日2〜3回程度に留めます。
 その日から効果があらわれる人もいますが、大抵の人は大体1ヶ月もしたら、その効果に驚かれることでしょう。爪もみと併用して、頭頂部の百会を刺激をするとさらに効果的です。
 これを基本に、血流の滞っているところはさわるとこわばっていたり、揉んだりすると痛いのですぐわかります。そこを指圧でもマッサージでも灸でも何でも良いですから、自分にとって気持ちの良い刺激を適度に与えるのも、血流を促す効果があります。
 日常生活ではこの他、食事療法も含めて、血行を促すのに効果的な入浴、運動、乾布摩擦等をとり入れてうまく組み合わせると良いでしょう(表4参照)。
 原理がわかった上で、自分の体にあった方法を続けていけば、それをどの程度にやったら良いかも含めて体はそれにこたえてくれます。要するに、決まり切ったやり方というのはないのです。ところが、西洋東洋問わず医学界でも、民間療法の世界でも、派閥ができて自分の流儀しか認めない。それでは患者さんも何が良いのか迷ってしまいます。
 そうではなく、"血流を改善していくことが、リンパ球を増やし、免疫力を上げていく”のだということがわかれば、自分流にいろいろな方法を応用していくことができるわけです。そして、"痛みなどの症状は治癒に向かっていく反応”であるということがわかれば、それらをむやみに恐れたり、安易に薬に頼ることもなくなります。
 国民の年間医療費30兆円という呆れるばかりの国家財政も、「福田・安保理論」に基づいたこの療法が広く普及すれば解決すると思っています。
(インタビュー構成 本誌・功刀)