朝抜き2食で、腹六〜七分

"少食”は体と地球を救う

甲田医院 甲田光雄院長

過食・飽食の時代、見直される断食・少食療法

 古くから、断食は心身の浄化を目的に、宗教の修行や民間療法として広く行われてきました。
 近年、断食の効用が科学的に解明されるようになり、さらに、現代の美食・飽食の悪弊が慢性病や生活習慣病、また、アレルギーや自己免疫疾患等の難治性疾患の急増をもたらしていることなどから、断食が今新たに脚光を浴びています。
 甲田先生はご自身の虚弱体質を克服すべく医学を志したものの、こじらせた慢性肝炎は現代医学からは見離され、さまざまな健康法を学ぶ中、断食療法で救われました。
 以来、断食療法・玄米少食療法の研鑽、実績を積まれ、"過食による宿便こそ万病の元”という確信の下、多くの難病を救われています。
 朝食を抜いて50年、1食になって20年、生菜食を実行して10年という甲田先生は、76歳の現在、白髪は1本もなく、睡眠4時間で、治療に指導に研究に執筆に、矍鑠と活躍されてます。
 健康だけではなく、"愛と慈悲の行為につながる少食こそ、人類が生き残れる秘訣”と説かれる甲田先生に、少食の効用とその実際について伺いました。

断食・少食50年の歩み

──先生は断食・少食・生菜食療法で、生活習慣病から、がん、膠原病、リウマチなどの難病まで、劇的な効果をあげられていますが、そもそも断食・少食療法を研究、指導されるようになったきっかけはどういうことですか。
甲田 私はもともと虚弱体質で、若い時から大病を繰り返し、大学3年生の時にはこじらせた慢性肝炎が元で入院しました。
 ところが、主治医から「もう治らないから、家でのんびり養生せい」と宣告され、なんとか治る道はないものかと民間療法の本を読み漁った中に、「断食療法で肝臓病が治る」とあったんです。
 主治医に相談したら「肝臓病は栄養をとらなければいけないのに断食なんかしたら死んでしまう」と言われましたけれど、そう言われても他に手だてはない。それで今からちょうど50年前、昭和25年の8月4日、生駒山で11日間の断食に入ったんです。
 4日間の準備期間にスイマグ(水酸化マグネシウム)を飲んで便を出してから後は、断食中も、3分粥、5分粥、7分粥になって普通食に戻っても便は出ない。退院5日後、9月2日の夜、約1ヶ月ぶりで、1時間かかってものすごく太い便がやっと出ました。
 不思議なことに、硬い便を出すと血が止まらないほどひどい切れ痔だったのが、便には血が一滴もついていない。切れ痔が治っていたんです。それから元気も出て、肝臓も良くなってきた。そこで初めて、断食には現代医学では分らない深い真理があることが分り、以後、何度か断食を繰り返し、その度に体が変わっていき、5年位ですっかり健康体になりました。
 その時に、現代医学では治らない患者さんを、断食・少食療法で救おうと閃いたんですね。
 以来、断食指導を始めて約半世紀、この間、慢性病や生活習慣病、難病の慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、喘息、アトピー性皮膚炎、さらにがんと、大勢の患者さんが救われ、"宿便を出し切ることが健康を維持し病気を治す鍵”であり、反対に"宿便こそ万病の元”と確信するようになったわけです。
 その実証に、昭和42年からは、食養内科の故日野厚先生を始め、玄米菜食や断食療法を研究されている先生方と「絶食研究会」を結成し、だんだんデータが集まり、徐々にメカニズムも分かってきました。
 今では、現代医学の中からも、断食や少食の研究を始める方が出てきて、そうした方々と一緒に、「生菜食に秘められた未知の栄養等」を中心に研究をしています。

"宿便”は万病の元
"宿便”は、過食によって腸内に渋滞した食物残滓・排泄内容物

──現代医学では「宿便というものはない」と断言される方が多いようですね。
甲田 現代医学は宿便に全く無関心か、もしくは否定しています。
 実際、浜松医大の放射線科にいた息子も、大腸をかたっぱしから調べても「昔から言われているような大腸の壁にこびりついている宿便は、親父が言うほどない」と言います。
 しかし、最近も糖尿病の患者さんが3週間の水断食中、10日たっても2週間たっても便が出ず、宿便はないと思っていたら、16日目の晩に5回、明くる日は7回と、トイレに行く度に多量の便が出て、それからいっぺんに糖尿病が良くなったケースがありました。やはり、宿便というのはあるのです。
 一般の人は宿便を、腸管の壁に1年も2年もこびりついてる黒い便と思っていますが、便は1年も2年も腸壁にこびりついていることは出来ません。
 腸管には約100種類の腸内細菌が約100兆個あり、酵素をどんどん出して食べ物を分解しています。例えば、セルローズなど食物繊維は消化液で分解されないのでそのまま大腸に行って排泄されると考えられていましたが、今では腸内細菌の出す酵素で発酵・分解されることが分かっています(図1)。
 ですから、小腸で分解されないで大腸に行った食べ物も、腸内細菌に分解されて2〜3週間もしたら消えてしまう。しかも、腸管の粘膜は3日に1度くらいの割合で生まれ変わるので、腸壁に1年も2年も古便がこびりつくということはないんです。
 では宿便とは一体何か。
 それは、胃腸の処理能力を越えて食べ過ぎ続けた結果、腸管内に渋滞する、食物残滓(食べ物の残り滓)、排泄内容物と言えます(表1)。
 例えば、1分間に自動車100台が流れる高速道路では70台ならすいすい流れますけれど、150台突っ込んできたら50台は渋滞する、これが宿便です。
 この状態で次々に車が突っ込んできたら、通行制限か、通行止めで渋滞を解消するしかない。つまり、宿便は少食か、断食で解消するしかないわけです。
 ただし、宿便は処理能力以内で食べていても、水や食物繊維をとらない、心配事がある、腹巻きなどでお腹をしっかり包み込むなど、腸の蠕動運動を妨げる要因があるとたまります(表1)。

宿便による"腸麻痺”が万病の元

甲田 逆に言うと宿便は、胃腸の処理能力の範囲以内に食べて、腸の蠕動を妨げることをしなければ、たまらないわけです。
 ところが、晩に腹一杯すき焼を食べビールも飲み1食で3000キロカロリーを越え、翌朝はお腹が全然すかない。こんな時は、朝は野菜ジュース1杯、昼も抜かないと渋滞は解消されないのに、大抵の人はいつも通りに食べてしまう。こんなことを毎日続け、1年5年10年と経ったらどうなるか。
 人間の胃腸はうまく出来ていて、処理能力を越えて食べ続けていると、それを収納するために胃腸が伸びて垂れ下がったり、横に広がってきます。そうすると、安定が悪いからあっちこっちに引っ張られ、癒着が起き、癒着したところでは細くなったりねじれたりして、そこに食物残滓が引っかかり、余計に通りが悪くなります。
 さらに、腸が癒着すると腸麻痺が起き、腸が動かなくなる。つまり、蠕動運動が起きないから、それでまた宿便が渋滞する悪循環が起きるわけです。
 そうした食物残滓も、腸内細菌が出す酵素で2週間か3週間で分解(発酵)されて消えてしまいますが、いつも食べ過ぎの状態にあると、新しいものが次から次へと渋滞する。これが宿便なのです。
 そして、腸管内で発酵・腐敗して、その過程で毒素が一杯出て、それが体内に吸収されると、頭がふらふらしたり、頭痛や肩こり、疲れやすいなどいろいろな症状が起き、終いにはがんや脳卒中、リウマチやアトピーなど、いろいろな病気を引き起こすのです。特に、高脂肪・高蛋白・低繊維の動物性食品の過食がもたらす宿便では、この傾向が非常に顕著になります。
 この宿便を排除しない限り、根本治療にはならない。それなのに、現代医学は頭痛には頭痛薬、足がだるいというとビタミン注射、これでは根源は全く変わらないから治らないんです。

"少食”こそ健康の原点  
宿便排除の根本は"少食”にあり

甲田 それでは、宿便はどう排除するのか。
 排泄能力は飢えた時に高まるので、断食は確かに素晴らしい効果をあげます。しかし、断食をしてもその後の少食が守れないと、根本的な宿便排除にはなりません。私自身、断食しては食べ過ぎ、また、宿便をためるということを何度も繰り返しました。
 断食で宿便が出ると途端に症状は好転しますが、5年10年20年と食べ過ぎ続けた結果、伸びた腸、ふくらんだ腸はそう簡単には変わらない。20年30年の不養生がもたらした腸の変形を正常な形に戻すのは、少なくても5年はかかります。
 それには、"少食”を続ける以外に道はないんです。そうすると健康の原点は"少食”というところに落ち着きます。
 病気が治ってからも油断しないで、死ぬまで少食という良い習慣を守らなければ、他にどんなに優れた健康食品をとろうと、健康法をしようと、健やかに老いることは出来ないのです。

少食では質が肝心
──過食と質の悪化を招く現代栄養学の差別思想──

甲田 そして、少食ほど質が肝心です。
 白米よりは玄米、白パンよりは黒パン、白砂糖よりは黒砂糖、マグロの切り身よりメザシやチリメンジャコと、穀類でも野菜でも果実でも魚でも全体を食べる。
 そうすれば、糖質は体内でゆっくり消化されるし、ミネラルやビタミン、食物繊維など体の代謝に重要な微量栄養素(表2)の損失もないので(表3)、少食ですみます。
 さらに、なるべく加工しないで生で食べた方が良い。
 そうなると、農薬や環境汚染物質に汚染されていない食べ物をとるのが良いということになります。
 今、人類が行き詰まっているのは、役立つ生きものは飼い馴らして利用し、少しでも都合の悪いものは農薬や抗生物質などで皆殺しにするという、人類独尊の差別思想です。その跳ね返りが今、環境問題、食糧問題として、我々の前に起きているわけですね。
 「1日30品目」という現代栄養学も差別思想の栄養学です。白米を玄米に、白パンを黒パンにすれば10品目位で十分やっていけるのに、根っこや皮、骨や頭や内臓を捨て、口当たりの良い美味しいところを選り取りするから30品目も必要になり、それで食べ過ぎてお腹の中で腐らせ、食べ物の命も、己れの命も粗末にしているのです。
 主婦に人気の「おもいっきりテレビ」という番組で、牛肉にはカルニチンが多く、細胞のミトコンドリアで脂肪酸とカルニチンが結びつくと脂肪が完全燃焼するから牛肉を食べれば太らないとやる。太らないためには食事を減らせばいいのに、腹一杯食べ、太らないために牛肉を食べろというのは、明らかに現代栄養学の差別思想のあらわれです。いっぺん、食われるものの身になってみろと言いたくなります。

"生菜食”は少食の王者

──「出来れば生食が良い」という理由は何ですか。
甲田 加熱すると、ビタミンも壊れるし、一番大事な酵素も壊れます。蛋白質は変性するし、脂肪は酸化します。
 私のところでは、生野菜は最初はミキサーにかけますが、1年位経ったら畑からとれたものを包丁で適当に切ってそのまま食べる。玄米も、発芽しかかった状態の発芽玄米を玄翁で叩いたものから始めて、2年位したら発芽玄米そのままを食べます。
 ちなみに、玄米は炊くとアルファ澱粉になり、小腸でブドウ糖に分解されて体内に吸収されますが、生玄米はベータ澱粉ですから、人間の消化液では分解されず、大腸にそのまま行きます。しかし、先ほどお話ししたように、そこで腸内細菌による発酵が起き、酪酸、酢酸、吉草酸、プロビオン酸などの短鎖脂肪酸に分解され、それが吸収されてエネルギー源になるというメカニズムも分かってきました(図1)。
 しかも、慣れてくると生が一番うまい。本当の自然食とは、こういうものなんです。そして、生食にすると自然に、食事の量がどんどん減ってきます。
 この15年間、加熱したものは一切食べていないある女性は、始めのうちは生野菜と生玄米で塩も入れてましたが、今はもう生玄米も食べず、1日青汁コップ1杯で5年間過ごしています。
 現代栄養学では熱量は成人1日2000キロカロリー前後必要とされていますが、この女性は1日約50キロカロリーで、睡眠時間3〜4時間で元気に働いています。腸管の粘膜の脱落したやつなど、排便もちゃんと行なわれ、痩せないどころか、体重も適正に増えています。そして、肌が非常にきれいです。
──そのような超低カロリー食を先生は「仙人食」と名づけておられますが、本当ににわかには信じ難い事実ですね。
 東洋医学では、冷え症に果物や生野菜は駄目と言いますが…。
甲田 冷え症だから温めたものというのでは、体は過保護になっていつまで経っても体質は変わりません。
 確かに、生菜食すると最初のうちは物凄く冷えます。しかし、半年位で横ばい、1〜2年位で冷えない体になってきます。
 低体温になるので夏の暑さにも強くなり、まさに「艱難汝を玉にする」とはこのことです。
 まずは少食から始め、加熱食を徐々に減らしていき、だんだんに生菜食に移行していく。いずれにしても生菜食オンリーの食事は、すぐに出来ることではないです。

人類が生き残る道は"少食”しかない

甲田 また、動植物の「命」をなるべく殺生しないという"愛と慈悲の少食”は、21世紀に人類が生き残れる秘訣でもあるのです。
 このままの状態で環境問題などが進行すれば近い将来、人類はもちろん、地球上の動植物も滅亡します。これからは共生時代に入っていかないと立ち行かない。
 例えば、日本人は今、一生で一人平均約2・2トンの牛肉を食べています。牛で6頭分、日本人全体で7億5千万頭もの牛を殺す計算ですが、牛肉100gで、とうもろこし800gが牛の餌として消えます。60億の人口は50年も経たないうちに100億になると予測されている。その時は、肉を食べる贅沢を止めない限り、いくら穀物を増産しても間に合いません。
 また、生の玄米なら1日1合、炊いた玄米なら2合でやっていけるのに、白米にして副食をいっぱいとる。こんなことが、共生時代になった時に許されるかどうか。
 副食は、野菜と豆腐や納豆、ごま、海藻、みそ汁程度にして、魚も肉も食べなければ、病気も治るし、健康長寿もまっとう出来ます。
 さらに、生食ならば、料理に使うガスや電気の燃料もいらなくなります。
──少食は単に健康だけではなく、食糧問題、環境問題の解決にもつながるというわけですね。
甲田 そして、全ての"命”を粗末にすることのない慈愛の精神が生まれ、世界を救うのです。

朝食を抜いて、腹六〜七分で1日2食  まずは朝食を抜くことから

──では、一般の人が少食を始めるには、どういう風に始めたらよろしいでしょう。
甲田 始めは、普通の食事でいいですから、朝食抜きの1日2食にする。これだけでもかなり違ってきます。
 これに慣れたら、卵、牛乳、肉、油は極力控え、ご飯は発芽玄米にして大豆製品、豆類、野菜、動物性食品は小魚に留めます(表4参照)。
 こうした食事の方が腹もちが良いので、出来れば最初から行うと、少食もやりやすくなり、病気も治ってきます。
 そして、朝は水や、胃腸に優しい柿の葉茶で水分だけをとる。それでは辛いという人は、最初のうちは野菜ジュース(イラスト参照)を飲んだり、りんご半個とかみかん1個程度と果物を少し食べ、だんだん馴らして最後は水分だけにします。
 ちなみに、お腹がよく空く人は胃が荒れているからで、胃が治ってきたら空腹感はない。私自身、普段は空腹感はないんですが、会合などで晩飯を外食した翌朝は腹が減ります。また、腸が荒れると、足のカカトがザラザラになります。腸の粘膜がきれいになってくるとカカトがつるつるになる。本当の美肌は、腸管をきれいにしないと生まれてこないんですね。

朝食抜きと、腹六〜七分の効用

甲田 そして、腹六〜七分を心がける。朝を抜いても、あとの2食を大量に食べるのでは駄目です。
 最近は、"腹六分にするとがんの発生率が1桁減る(表5・6)”、"過食は老化を促進する”などのデータが次ぎ次ぎ報告され、アメリカでも、腹八分よりは腹六分ということを言い始めました。
 私はがんに限らず、脳梗塞でも心筋梗塞でも予防には腹六分、それが無理ならせめて腹七分を守りなさいと言いたいですね。
 それも無理なら、一回の量を今の2割方減らし、まずは腹八分からでも始めましょう。
──今の医学や栄養学では、3食しっかりとることが言われますね。
甲田 朝食を抜くと言うと、散々叩かれます。
 朝食を抜くと血糖が低下し、脳の唯一のエネルギー源のブドウ糖が行き渡らないから、思考力や活動が低下すると言うんですね。
 自治医科大学の香川教授の実験では、「朝食を抜いた学生の方が成績が悪い」という結果が出て、これが朝食信仰を決定づけたわけですが、今まで朝飯を食べていた人間を1週間位朝飯を抜いてテストすれば悪い成績になるのは当たり前です。我々のように10年も20年も抜いてきたものとは違うのです。実際は、飢えた時の方が頭は働きます。
 息子が最近行なった実験では、朝食を食べた者と食べなかった者との間には、血糖値の差は殆ど出ませんでした(図2)。
 なぜこのような結果が出たか。実は断食(朝食抜きは12時間以上の半日断食に相当)すると、脳は脂肪をエネルギーとして使うのです。1980年代、カナダのオーエンスが、「脳は普段は100%ブドウ糖を使っているが、断食に入るとアルファアミノ窒素10%、アセト酢酸を10%、ケトン体のベータヒドロキシ酪酸を50%使い、そしてブドウ糖はたった30%しか使わない」ことを明らかにしました(図3)。
 朝食抜きはなぜ良いか、もう一つの理由は、先ほどお話ししたように、老廃物の排泄機能は飢えたときに高まるからです。
 食べ物が分解されてそれを吸収するために出る消化管ホルモンは、普通は食後に出ます。ところが、1971年に発見されたモチリンという消化管ホルモンは、腸の内容物を排泄するためのホルモンで、空腹時に出て、腸の蠕動運動を活発にします。ですから、朝起きたら腸がぐっと鳴るまで待って、便が出てから食べるのが体の生理に合っているんです。

月に1〜2回、1日断食

甲田 この朝食抜きに、月に1〜2回、1日断食するとさらに良い。これにも慣れてきたら1週間に1日断食をする。
 1週間に1日断食を3年続ければ、胃も腸も肝臓も何もかも、生まれ変わったような健康体になります。
 そして、現在の医療費30兆円が、朝食を抜くだけで13兆円、1週間に1日の断食で10兆円、あわせて23兆円のお金が浮く計算になり、それを福祉に使ったら、どれだけ豊かな社会になるかなと思います。
 しかし、これは大きな世直し運動ですから、政治的配慮がないとなかなか出来ない。近い将来、少食を掲げる政党が出てこんかと思っています。

朝食抜きで50年
1食になって20年
生菜食になって10年

──最後に、先生ご自身の食生活を。
甲田 私が朝飯を抜いてからちょうど50年、1食になって20年、生菜食になってかれこれ10年経ちます。
 毎朝4時に起き、飲み物は水と柿茶で、最初の食事が晩の8時。生の発芽玄米と生野菜、それと豆腐か生大豆で、1日約800キロカロリーの食事です。
 就寝は12時で、睡眠時間は4時間。現在76歳ですが、白髪は1本もありません。これはやはり生菜食にしてからですね。
 この生菜食をあと20年は続け、95〜96歳になってもこのままの状態でいけたら、多くの人にこの食事の価値を分かってもらえると思っています。さらに2年位、病院に24時間監視体制で閉じこもり、私が成功したら患者さんにも実験してもらって、1日300〜800キロカロリー程度の食事でも元気に生きられることを証明したいものと思っています。
 それが出来たら、今の医学が根底からひっくり返り、この食事が現代医学に認められた時にこそ、難病が地球上から消えると確信してます。
(編集構成 本誌功刀)